Cisco Catalyst 初期設定④|トランクポート(802.1Q)の設定方法【IOS XE 17.6.x】

ネットワーク技術

 

前回の記事では、VLANの作成とアクセスポートへの割り当てを解説しました。今回はその続きとして、スイッチ間で複数のVLANを通すトランクポートの設定を解説します。

【前回の記事】

Cisco Catalyst 初期設定③|VLANの作成とポートへの割り当て設定【IOS XE 17.6.x】
ネットワーク設計で最もよく使われる技術のひとつが「VLAN」です。「名前は聞いたことあるけど、何のために使うのかよくわからない」という人も多いのではないでしょうか。このシリーズでは、Cisco Catalyst 9606RのIOS XE 1…

 

「VLANを作ったのに、別のスイッチにいる同じVLANの端末と通信できない」。その原因はほぼ間違いなく、トランクポートの設定が不足していることです。

この記事では仕事でネットワークの知識が必要な方やCCNA取得を目指している方向けに分かりやすくなるべく挫折しないような記載を心がけています!

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動作環境

  • 機器:Cisco Catalyst 9606R
  • OS:Cisco IOS XE 17.6.x(Bengaluru)
  • 前提:初期設定③(VLAN作成・アクセスポート設定)が完了していること
  • 参照元:Cisco公式VLANコンフィギュレーションガイド(IOS XE Bengaluru 17.6.x)

 

 

トランクポートとは何か

前回作成したVLAN(VLAN 10:SALES、VLAN 20:DEVELOP、VLAN 99:MGMT)を使って、具体的なイメージをつかみましょう。

スイッチが1台だけなら、アクセスポートの設定だけで同じVLAN内の通信ができます。しかし複数のスイッチがある環境では、スイッチ間を接続するリンクで複数のVLANのトラフィックをまとめて通す必要があります。

これを実現するのがトランクポートです。

【アクセスポート】               【トランクポート】
PC(VLAN10) ──[Gi1/0/1]──┐              ┌──[Gi1/0/1]── PC(VLAN10)
PC(VLAN20) ──[Gi1/0/2]──┤ SW-A ══════ SW-B ├──[Gi1/0/2]── PC(VLAN20)
PC(VLAN99) ──[Gi1/0/24]─┘  Trunk(Gi1/0/48)  └──[Gi1/0/24]─ PC(VLAN99)
                        VLAN10,20,99 をまとめて転送

トランクポートでは、フレームにVLANタグ(IEEE 802.1Qヘッダ)を付与することで、1本の物理リンクで複数のVLANを識別・転送できます。

 

 

IEEE 802.1Qとは

公式ドキュメントによると、Cisco Catalyst 9606RはすべてのイーサネットポートでIEEE 802.1Q(業界標準のトランキングカプセル化方式)をサポートしています。

IEEE 802.1Qは、イーサネットフレームに4バイトのVLANタグを挿入する規格です。このタグにVLAN IDが含まれており、受信側のスイッチがどのVLANのフレームかを識別します。

項目内容
規格名IEEE 802.1Q
タグサイズ4バイト
VLAN ID範囲1〜4094
ネイティブVLANタグなしで転送されるVLAN(デフォルト:VLAN 1)

 

 

トランキングモードの種類

公式ドキュメントには、インターフェイスのトランキングモードが以下のように定義されています。

モード動作
switchport mode trunk強制的にトランクポートにする。ネイバーの設定に関係なくトランクになる
switchport mode dynamic autoネイバーがtrunkまたはdesirableの場合のみトランクになる(デフォルト
switchport mode dynamic desirableネイバーがtrunk・desirable・autoのいずれかならトランクになる
switchport mode access強制的にアクセスポートにする
switchport nonegotiateDTPフレームを送信しない(trunkまたはaccessと組み合わせて使用)

実際の運用ではswitchport mode trunkswitchport nonegotiateを組み合わせて使うのが推奨されます。 DTP(Dynamic Trunking Protocol)はデバイス間でトランクをネゴシエーションするプロトコルですが、他社製機器や一部の環境ではDTPフレームが誤動作の原因になることがあるためです。

 

 

ネイティブVLANとは

トランクポートには「ネイティブVLAN」という概念があります。ネイティブVLANとは、802.1Qタグが付いていないフレームが属するVLANのことです。

デフォルトのネイティブVLANはVLAN 1です。

公式ドキュメントでは「ネイティブVLANはトランクリンクの両端で一致させる必要がある」と明記されています。不一致の場合、スパニングツリーループが発生する可能性があります。

セキュリティのベストプラクティスとして、ネイティブVLANはユーザーが使用しない専用のVLAN(例:VLAN 99)に変更することが推奨されます。

 

 

トランクポートの設定手順

ステップ1:トランクポートの設定

スイッチ間接続ポート(例:GigabitEthernet1/0/48)をトランクポートに設定します。

C9606R-Core01# configure terminal

C9606R-Core01(config)# interface GigabitEthernet1/0/48
C9606R-Core01(config-if)# switchport mode trunk
C9606R-Core01(config-if)# switchport nonegotiate
C9606R-Core01(config-if)# exit

C9606R-Core01(config)# end

コマンド解説:

コマンド説明
switchport mode trunkポートを強制的にトランクモードに設定する
switchport nonegotiateDTPフレームの送信を停止する(他社製機器との接続時に特に重要)

 

ステップ2:トランクで許可するVLANの設定

デフォルトではトランクポートはVLAN 1〜4094のすべてを許可します。セキュリティと管理のしやすさのため、必要なVLANだけを許可するように制限することを推奨します。

C9606R-Core01# configure terminal

C9606R-Core01(config)# interface GigabitEthernet1/0/48
C9606R-Core01(config-if)# switchport trunk allowed vlan 10,20,99
C9606R-Core01(config-if)# exit

C9606R-Core01(config)# end

VLANリストの書き方:

書き方意味
vlan 10,20,99VLAN 10、20、99のみ許可
vlan 10-20VLAN 10〜20を許可
vlan add 30既存の許可リストにVLAN 30を追加
vlan remove 20許可リストからVLAN 20を削除
vlan allすべてのVLANを許可(デフォルト状態に戻す)
vlan noneすべてのVLANを拒否
vlan except 10VLAN 10以外のすべてを許可

 

ステップ3:ネイティブVLANの変更(推奨)

セキュリティのベストプラクティスとして、ネイティブVLANをVLAN 1から専用VLANに変更します。今回はVLAN 99(MGMT)をネイティブVLANとして使用します。

重要:ネイティブVLANはトランクリンクの両端で必ず一致させてください。 不一致の場合、スパニングツリーループが発生する可能性があります。

C9606R-Core01# configure terminal

C9606R-Core01(config)# interface GigabitEthernet1/0/48
C9606R-Core01(config-if)# switchport trunk native vlan 99
C9606R-Core01(config-if)# exit

C9606R-Core01(config)# end

 

ステップ4:設定の確認

トランクポートの設定が正しく反映されているか確認します。

C9606R-Core01# show interfaces GigabitEthernet1/0/48 switchport

出力例:

Name: Gi1/0/48
Switchport: Enabled
Administrative Mode: trunk
Operational Mode: trunk
Administrative Trunking Encapsulation: dot1q
Operational Trunking Encapsulation: dot1q
Negotiation of Trunking: Off
Access Mode VLAN: 1 (default)
Trunking Native Mode VLAN: 99 (MGMT)
Administrative Native VLAN tagging: enabled
Voice VLAN: none
Administrative private-vlan host-association: none
Administrative private-vlan mapping: none
Administrative private-vlan trunk native VLAN: none
Trunking VLANs Enabled: 10,20,99
Pruning VLANs Enabled: 2-1001

確認すべき主なフィールドは以下のとおりです。

フィールド確認内容
Administrative Mode: trunkトランクモードに設定されているか
Operational Mode: trunk実際にトランクとして動作しているか
Trunking Native Mode VLAN: 99ネイティブVLANが正しく設定されているか
Trunking VLANs Enabled: 10,20,99許可VLANが正しいか
Negotiation of Trunking: OffDTPが無効になっているか

 

トランク全体の状態を一覧で確認する場合は:

C9606R-Core01# show interfaces trunk

出力例:

Port        Mode             Encapsulation  Status        Native vlan
Gi1/0/48    on               802.1q         trunking      99

Port        Vlans allowed on trunk
Gi1/0/48    10,20,99

Port        Vlans allowed and active in management domain
Gi1/0/48    10,20,99

Port        Vlans in spanning tree forwarding state and not pruned
Gi1/0/48    10,20,99

Status: trunkingと表示されていれば、トランクとして正常に動作しています。

 

ステップ5:設定の保存

C9606R-Core01# write memory
Building configuration...
[OK]

 

 

設定コマンドのまとめ

! トランクポートの設定
interface GigabitEthernet1/0/48
 switchport mode trunk
 switchport nonegotiate
 switchport trunk allowed vlan 10,20,99
 switchport trunk native vlan 99
 exit

! 設定の保存
end
write memory

 

 

よくあるトラブルと対処法

show interfaces trunkにポートが表示されない

以下を確認してください。

  • switchport mode trunkが設定されているか
  • 相手側スイッチのポートもトランクモードになっているか(dynamic auto同士はトランクにならない)
  • リンクがup状態になっているか(show interfaces GigabitEthernet1/0/48 status

特に注意: 両端のポートがdynamic auto(デフォルト)のままだとトランクにはなりません。少なくとも片方をtrunkまたはdynamic desirableに設定する必要があります。

 

トランクは動作しているが特定のVLANのトラフィックが通らない

show interfaces trunkで「Trunking VLANs Enabled」を確認し、該当のVLANが許可リストに含まれているかチェックしてください。

C9606R-Core01# show interfaces GigabitEthernet1/0/48 trunk

また「Vlans in spanning tree forwarding state and not pruned」にVLANが表示されていない場合、STPによってブロックされている可能性があります。

 

ネイティブVLANの不一致警告が出る

%CDP-4-NATIVE_VLAN_MISMATCH: Native VLAN mismatch discovered on GigabitEthernet1/0/48

このメッセージが表示された場合、トランクリンクの両端でネイティブVLANが異なっています。switchport trunk native vlanコマンドで両端のネイティブVLANを同じ値に揃えてください。

 

 

まとめ

今回のポイントをまとめます。

  • トランクポートは1本の物理リンクで複数のVLANを転送するための設定
  • Catalyst 9606RはIEEE 802.1Qをサポート
  • switchport mode trunkで強制的にトランクモードに設定する
  • switchport nonegotiateでDTPを無効化してセキュリティを高める
  • switchport trunk allowed vlanで許可VLANを絞ることを推奨
  • ネイティブVLANはトランクの両端で必ず一致させる
  • show interfaces trunkshow interfaces [インターフェイス] switchportで設定を確認する

これで「VLAN作成 → アクセスポート割り当て → トランクポート設定」という基本的なVLAN設計の一連の流れが完成しました。次回はSVIでVLAN間ルーティングを設定する方法を解説します。異なるVLAN間で通信させるために必要な設定です。

Cisco Catalyst 初期設定⑤|SVIでVLAN間ルーティングを設定する方法【IOS XE 17.6.x】
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過去記事も以下にまとめておきます。

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