この記事は、CCNA(200-301 v1.1)の第4分野「IPサービス(IP Services・全体の約10%)」の演習問題を、1問ずつ徹底解説つきでお届けするシリーズ第4弾です。DHCP、NAT、NTP、SNMP、Syslog、QoS、SSHなど、運用に欠かせないサービスを扱います。
解説では、正解の理由だけでなく、不正解の選択肢がなぜ違うのか、関連するCisco IOSコマンドまで説明しています。役割がまぎらわしいサービスを、ここで整理しましょう。
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IPサービス 演習問題(全10問)
問題1
端末に対して、IPアドレス・サブネットマスク・デフォルトゲートウェイ・DNSサーバーを自動的に割り当てる仕組みはどれか。
A. DNS
B. NAT
C. DHCP
D. ARP
正解 C
【解説】
答えはDHCPです。DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)は、端末がネットワークに接続したときに、IPアドレス・サブネットマスク・デフォルトゲートウェイ・DNSサーバーなどを自動で割り当てる仕組みです。手動設定の手間やIPの重複を防げます。CiscoルーターをDHCPサーバーにすることもでき、ip dhcp pool で設定します。
各選択肢の解説
A:DNSはドメイン名をIPに変換する仕組みで、IP配布はしない。
B:NATはプライベートとグローバルのIP変換。
C:正しい。IPなどのネットワーク設定を自動で割り当てる。
D:ARPはIPからMACアドレスを解決する。
試験対策ポイント:「IP設定を自動割り当て=DHCP」。
ワンポイント:CiscoでのDHCPサーバー設定は ip dhcp pool。
関連知識:取得の流れはDORA(Discover→Offer→Request→Ack)。
問題2
社内の多数のプライベートIPアドレスを、1つのグローバルIPアドレスにポート番号を使ってまとめて変換する技術はどれか。
A. PAT(NATオーバーロード)
B. DHCP
C. VLAN
D. OSPF
正解 A
【解説】
答えはPAT(NATオーバーロード)です。PATは、ポート番号を使い分けることで、社内の多数の端末が1つのグローバルIPアドレスを共有してインターネットへ出られるようにする技術です。グローバルIPの節約になり、家庭用ルーターから企業まで広く使われています。通常の「NAT」と言うとき、実際にはこのPATを指すことが多いです。
各選択肢の解説
A:正しい。ポート番号で多数のプライベートIPを1つのグローバルIPに集約する。
B:DHCPはIP設定の自動割り当て。
C:VLANはネットワークの論理分割。
D:OSPFはルーティングプロトコル。
試験対策ポイント:「多数のIPを1つに集約=PAT(NATオーバーロード)」。
ワンポイント:グローバルIPの枯渇対策として広く使われる。
関連知識:静的NAT(1対1)、動的NAT(プールから)との違いも押さえる。
問題3
ドメイン名(例:example.com)を、対応するIPアドレスに変換する仕組みはどれか。
A. DHCP
B. NAT
C. ARP
D. DNS
正解 D
【解説】
答えはDNSです。DNS(Domain Name System)は、人が覚えやすいドメイン名(example.com)を、コンピュータが使うIPアドレスに変換する仕組みです。電話帳のような役割で、Webアクセスの裏側で常に使われています。名前解決ができないとサイトに繋がらないため、トラブル時にはDNSの設定確認も重要です。
各選択肢の解説
A:DHCPはIP設定の自動割り当て。
B:NATはIPアドレスの変換。
C:ARPはIPからMACアドレスを解決する(名前ではない)。
D:正しい。ドメイン名をIPアドレスに変換する。
試験対策ポイント:「名前→IPの変換=DNS」。
ワンポイント:DNSは主にUDPの53番ポートを使う。
関連知識:ARP(IP→MAC)とDNS(名前→IP)を混同しない。
問題4
ネットワーク機器の時刻を、正確な基準に合わせて同期させるためのプロトコルはどれか。
A. SNMP
B. NTP
C. Syslog
D. DNS
正解 B
【解説】
答えはNTPです。NTP(Network Time Protocol)は、ネットワーク機器の時刻を正確な基準時刻に同期させるプロトコルです。時刻がずれていると、ログの時刻が食い違ってトラブル調査が困難になったり、証明書の検証に失敗したりします。設定は ntp server 時刻サーバーのIP で行います。全機器の時刻を揃えることは、運用・セキュリティの基本です。
各選択肢の解説
A:SNMPは機器の状態監視。
B:正しい。時刻を正確に同期させる。
C:Syslogはログの集約。
D:DNSは名前解決。
試験対策ポイント:「時刻同期=NTP」。
ワンポイント:設定は ntp server IPアドレス。
関連知識:時刻ずれはログ調査や証明書検証の障害になる。全機器で同期する。
問題5
ネットワーク機器のイベントやエラーのログを、外部のサーバーに集約して記録する仕組みはどれか。
A. NTP
B. DHCP
C. Syslog
D. NAT
正解 C
【解説】
答えはSyslogです。Syslogは、機器で発生したイベントやエラーのログメッセージを、外部のログサーバー(Syslogサーバー)に送って一元的に記録・保管する仕組みです。各機器に散らばるログを一箇所に集めることで、障害の調査やセキュリティ監視がしやすくなります。ログには重要度(0〜7のレベル)が付き、数字が小さいほど深刻です。
各選択肢の解説
A:NTPは時刻同期。
B:DHCPはIP設定の自動割り当て。
C:正しい。ログを外部サーバーに集約・記録する。
D:NATはIPアドレスの変換。
試験対策ポイント:「ログの集約=Syslog」。
ワンポイント:ログの重要度は0〜7。数字が小さいほど深刻。
関連知識:NTPで時刻を揃えておくと、Syslogのログ突き合わせが正確になる。
問題6
ネットワーク機器の状態(トラフィック量・CPU使用率・障害など)を監視・管理するためのプロトコルはどれか。
A. Syslog
B. SNMP
C. NTP
D. DNS
正解 B
【解説】
答えはSNMPです。SNMP(Simple Network Management Protocol)は、監視サーバー(マネージャ)が各機器(エージェント)の状態を問い合わせたり、機器側から異常を通知(トラップ)したりするための管理プロトコルです。トラフィック量やCPU、インターフェースの状態などを継続的に監視できます。安全性の高いバージョンはSNMPv3で、暗号化と認証に対応します。
各選択肢の解説
A:Syslogはログの集約・記録。
B:正しい。機器の状態を監視・管理する。
C:NTPは時刻同期。
D:DNSは名前解決。
試験対策ポイント:「機器の状態監視=SNMP」。
ワンポイント:機器側からの異常通知をトラップと呼ぶ。
関連知識:暗号化・認証に対応した安全なバージョンがSNMPv3。
問題7
ネットワーク機器へリモートでログインする際、通信を暗号化して安全に管理できるプロトコルはどれか。
A. SSH
B. Telnet
C. HTTP
D. FTP
正解 A
【解説】
答えはSSHです。SSH(Secure Shell)は、ネットワーク機器へのリモート接続を暗号化して行うプロトコルです。よく比較されるTelnetは通信が平文(暗号化なし)で、パスワードまで盗聴される危険があるため、現在はSSHの使用が必須とされます。設定では、ホスト名・ドメイン名の設定とRSA鍵の生成(crypto key generate rsa)が必要です。
各選択肢の解説
A:正しい。暗号化して安全にリモート管理できる。
B:Telnetは平文で通信するため盗聴の危険があり、非推奨。
C:HTTPはWebの通信で、機器管理の暗号化リモート接続が主目的ではない。
D:FTPはファイル転送用(平文)。
試験対策ポイント:「暗号化リモート管理=SSH」「平文=Telnet(非推奨)」。
ワンポイント:SSH有効化にはRSA鍵の生成(crypto key generate rsa)が必要。
関連知識:vtyラインで transport input ssh とし、Telnetを無効化するのが安全。
問題8
音声通話やビデオ会議など、遅延や途切れに弱い通信を優先的に扱い、通信品質を確保する仕組みはどれか。
A. NAT
B. DHCP
C. SNMP
D. QoS
正解 D
【解説】
答えはQoSです。QoS(Quality of Service)は、限られた帯域の中で、通信の種類ごとに優先順位を付ける仕組みです。音声やビデオ会議のような、遅延・ジッタ・パケットロスに弱いリアルタイム通信を優先的に処理し、品質を守ります。仕組みとしては、通信を分類・マーキングし、優先度の高いものを先に送るキューイングなどを行います。
各選択肢の解説
A:NATはIPアドレスの変換。
B:DHCPはIP設定の自動割り当て。
C:SNMPは機器の状態監視。
D:正しい。通信に優先順位を付けて品質を確保する。
試験対策ポイント:「通信の優先制御=QoS」。音声・動画などリアルタイム通信を優先。
ワンポイント:通信を分類・マーキングし、キューイングで優先度順に送る。
関連知識:音声はとくに遅延・ジッタ・パケットロスに弱い、が前提知識。
問題9
DHCPで、端末がIPアドレスを取得するときのメッセージのやり取りの正しい順序はどれか。
A. Offer → Discover → Request → Ack
B. Request → Ack → Discover → Offer
C. Discover → Offer → Request → Ack
D. Ack → Request → Offer → Discover
正解 C
【解説】
答えは「Discover → Offer → Request → Ack」です。頭文字をとって「DORA(ドーラ)」と覚えます。まず端末がDHCPサーバーを探し(Discover)、サーバーがIPを提案し(Offer)、端末がそれを要求し(Request)、サーバーが確定応答する(Ack)、という流れです。この順序はよく問われるので、DORAで暗記しておきましょう。
各選択肢の解説
A:順序が違う。Discoverが最初。
B:順序が違う。
C:正しい。Discover→Offer→Request→Ack(DORA)。
D:順序が逆になっている。
試験対策ポイント:「DHCPの流れ=DORA(Discover→Offer→Request→Ack)」。
ワンポイント:最初は端末がサーバーを探すDiscoverから始まる。
関連知識:Discover/RequestはブロードキャストでDHCPサーバーを探す。
問題10
DHCPサーバーが別のネットワーク(別セグメント)にある場合、ルーターがDHCP要求を転送できるようにするために設定するものはどれか。
A. ip helper-address(DHCPリレー)
B. ip route
C. access-list
D. ntp server
正解 A
【解説】
答えは ip helper-address(DHCPリレー)です。DHCPの要求は通常ブロードキャストで送られますが、ルーターはブロードキャストを別ネットワークへは通しません。そこで、ルーターのインターフェースに ip helper-address でDHCPサーバーのIPを指定すると、DHCP要求をそのサーバーへユニキャストで転送(リレー)してくれます。1台のDHCPサーバーで複数セグメントに配布する定番設定です。
各選択肢の解説
A:正しい。DHCPリレーで、別セグメントのサーバーへ要求を転送する。
B:ip route はスタティックルートの設定。
C:access-list は通信の許可/拒否の制御。
D:ntp server は時刻同期サーバーの指定。
試験対策ポイント:「別セグメントのDHCP=ip helper-address(DHCPリレー)」。
ワンポイント:ルーターはブロードキャストを転送しないため、リレーが必要。
関連知識:1台のDHCPサーバーで複数のネットワークにIPを配れるようになる。
■ ここまでのミニまとめ(問題1〜10)
復習:IP自動割り当て=DHCP/多数IPを1つに集約=PAT/名前→IP=DNS/時刻同期=NTP/ログ集約=Syslog/機器監視=SNMP/暗号化リモート=SSH/通信の優先制御=QoS/DHCPの流れ=DORA/別セグメントのDHCP=ip helper-address。
頻出:①DHCPのDORA②SSHとTelnetの違い(暗号化)③SNMP・Syslog・NTPの役割の区別④NAT/PAT。ここは特に狙われます。
現役エンジニアの視点:実務での使いどころ
IPサービスは、地味に見えて実務では毎日使う分野です。DHCP・DNS・NAT・NTP・SSHは、どんな現場でも必ず登場します。特にSSH(暗号化)とTelnet(平文)の違いは、セキュリティ上いまや必須の常識。NTPの時刻同期も、障害調査でログを突き合わせるときに「ずれていて泣く」という現場あるあるです。用語の役割を実務のイメージと結びつけると忘れません。
おわりに
お疲れさまでした。IPサービスは、似た略語が多く混乱しやすい分野です。「監視=SNMP、ログ=Syslog、時刻=NTP」のように役割で対にして覚えると、確実に得点できます。DHCPのDORAとSSH(暗号化)は特に頻出です。
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※掲載問題はすべて筆者が公式の出題範囲をもとに独自に作成したオリジナルです。実際の試験問題ではありません。試験仕様は改訂される場合があるため、受験前にCisco公式でご確認ください。
CCNA問題集シリーズ 全6回(分野別)
分野別に、1問ずつ徹底解説つきで公開しています。弱点分野からどうぞ。


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