Cisco Catalyst 初期設定⑤|SVIでVLAN間ルーティングを設定する方法【IOS XE 17.6.x】

ネットワーク技術

前回までの記事で、VLANの作成・アクセスポートへの割り当て・トランクポートの設定を解説しました。これで「同じVLAN内の端末同士」が通信できる環境は整いました。

 

【VLANの作成・アクセスポートへの割り当て】

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しかし「VLAN 10(営業部)とVLAN 20(開発部)が通信できない」という状況が残っています。これは正しい動作です。VLANは論理的に分離されたネットワークなので、異なるVLAN間の通信にはレイヤ3のルーティングが必要です。

今回は、Catalyst 9606Rのスイッチ内部でVLAN間ルーティングを実現するSVI(スイッチ仮想インターフェイス)の設定を解説します。

この記事では仕事でネットワークの知識が必要な方やCCNA取得を目指している方向けに分かりやすくなるべく挫折しないような記載を心がけています!

 

 

動作環境

  • 機器:Cisco Catalyst 9606R
  • OS:Cisco IOS XE 17.6.x(Bengaluru)
  • 前提:初期設定③(VLAN作成)・④(トランクポート設定)が完了していること
  • 参照元:Cisco公式IPルーティングコンフィギュレーションガイド(IOS XE Bengaluru 17.6.x)

 

 

SVIとは何か

SVI(Switch Virtual Interface:スイッチ仮想インターフェイス)とは、VLANに対応した仮想的なレイヤ3インターフェイスのことです。

公式ドキュメントでは次のように定義されています。「SVIとは、interface vlan vlan_idグローバルコンフィギュレーションコマンドによって作成されたVLANインターフェイスで、デフォルトではレイヤ3インターフェイスです」。

通常のルーターは物理ポートごとにIPアドレスを設定してVLAN間ルーティングを行います。一方、Catalyst 9606Rのようなレイヤ3スイッチはSVIを使うことで、外部ルーターなしにスイッチ内部でVLAN間のトラフィックをルーティングできます。

【SVIなし(VLAN間通信不可)】
VLAN10 PC ──── SW-A ──── VLAN20 PC
                ↑
         VLAN間は通信不可

【SVIあり(VLAN間通信可)】
VLAN10 PC ──── SW-A ──── VLAN20 PC
          SVI10(192.168.10.1)
          SVI20(192.168.20.1)
          ↑
  スイッチ内部でルーティング

 

 

SVIの主な用途

SVIには2つの主な用途があります。

用途内容
VLAN間ルーティング異なるVLAN間でIPトラフィックをルーティングする
管理アクセススイッチ自体へのリモートアクセス(SSH/Telnet)用IPアドレスとして使用する

 

 

設定するネットワーク構成

今回は以下のネットワーク構成を例に設定します。

VLANVLAN名ネットワークSVIのIPアドレス(デフォルトゲートウェイ)
VLAN 10SALES192.168.10.0/24192.168.10.1
VLAN 20DEVELOP192.168.20.0/24192.168.20.1
VLAN 99MGMT192.168.99.0/24192.168.99.1

各PCには以下のIPアドレスを設定します。

端末VLANIPアドレスデフォルトゲートウェイ
営業部PCVLAN 10192.168.10.10192.168.10.1(SVI10)
開発部PCVLAN 20192.168.20.10192.168.20.1(SVI20)
管理端末VLAN 99192.168.99.10192.168.99.1(SVI99)

 

 

SVIの設定手順

ステップ1:IPルーティングの有効化

Catalyst 9606Rでレイヤ3スイッチとしてVLAN間ルーティングを行うには、まずIPルーティングを有効化する必要があります。これを忘れると、SVIにIPアドレスを設定してもVLAN間でルーティングが行われません。

C9606R-Core01# configure terminal
C9606R-Core01(config)# ip routing
C9606R-Core01(config)# end

ポイント: Catalyst 9606Rのようなレイヤ3スイッチは、デフォルトではルーティング機能が有効になっています。しかし、設定変更などで無効化されている場合があるため、明示的にip routingを設定しておくことを推奨します。この設定を忘れていて、何度躓いたことか、、、。

 

ステップ2:SVIの作成とIPアドレスの設定

各VLANに対応するSVIを作成し、IPアドレスを割り当てます。このIPアドレスが各VLANのデフォルトゲートウェイになります。

C9606R-Core01# configure terminal

! VLAN 10用SVI
C9606R-Core01(config)# interface vlan 10
C9606R-Core01(config-if)# description SALES_Gateway
C9606R-Core01(config-if)# ip address 192.168.10.1 255.255.255.0
C9606R-Core01(config-if)# no shutdown
C9606R-Core01(config-if)# exit

! VLAN 20用SVI
C9606R-Core01(config)# interface vlan 20
C9606R-Core01(config-if)# description DEVELOP_Gateway
C9606R-Core01(config-if)# ip address 192.168.20.1 255.255.255.0
C9606R-Core01(config-if)# no shutdown
C9606R-Core01(config-if)# exit

! VLAN 99用SVI(管理用)
C9606R-Core01(config)# interface vlan 99
C9606R-Core01(config-if)# description MGMT_Gateway
C9606R-Core01(config-if)# ip address 192.168.99.1 255.255.255.0
C9606R-Core01(config-if)# no shutdown
C9606R-Core01(config-if)# exit

C9606R-Core01(config)# end

コマンド解説:

コマンド説明
interface vlan [ID]指定したVLAN IDのSVIを作成・設定する
description [説明]インターフェイスの説明を設定する(任意だが推奨)
ip address [IP] [サブネットマスク]SVIにIPアドレスを割り当てる
no shutdownインターフェイスを有効化する(SVIはデフォルトでshutdown状態の場合がある)

 

ステップ3:SVIの状態確認

設定したSVIが正しく動作しているか確認します。

C9606R-Core01# show interface vlan 10

出力例:

Vlan10 is up, line protocol is up
  Hardware is Ethernet SVI, address is 1234.5678.9abc (bia 1234.5678.9abc)
  Description: SALES_Gateway
  Internet address is 192.168.10.1/24
  MTU 1500 bytes, BW 1000000 Kbit/sec, DLY 10 usec,
     reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255
  Encapsulation ARPA, loopback not set
  ...

Vlan10 is up, line protocol is upと表示されていれば正常に動作しています。

注意: line protocol is downと表示される場合、そのVLANに属するアクティブなポートがないことを意味します。アクセスポートに接続されたPCの電源が入っているか、またはトランクポートでそのVLANが許可されているかを確認してください。

 

すべてのSVIの状態を一覧で確認するには:

C9606R-Core01# show ip interface brief

出力例:

Interface              IP-Address      OK? Method Status                Protocol
Vlan10                 192.168.10.1    YES manual up                    up      
Vlan20                 192.168.20.1    YES manual up                    up      
Vlan99                 192.168.99.1    YES manual up                    up      
GigabitEthernet0/0     unassigned      YES unset  up                    up      

Status: up / Protocol: upがすべてのSVIで表示されていれば正常です。

 

ステップ4:ルーティングテーブルの確認

SVIを設定すると、Catalyst 9606Rのルーティングテーブルに各VLANのネットワークが自動的に登録されます。

C9606R-Core01# show ip route

出力例:

Codes: L - local, C - connected, S - static, ...

Gateway of last resort is not set

      192.168.10.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C        192.168.10.0/24 is directly connected, Vlan10
L        192.168.10.1/32 is directly connected, Vlan10
      192.168.20.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C        192.168.20.0/24 is directly connected, Vlan20
L        192.168.20.1/32 is directly connected, Vlan20
      192.168.99.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C        192.168.99.0/24 is directly connected, Vlan99
L        192.168.99.1/32 is directly connected, Vlan99

C(Connected)が各VLANのネットワークについて表示されていれば、ルーティングが有効になっています。

 

ステップ5:VLAN間通信の動作確認

設定が完了したら、実際に異なるVLAN間でpingが通るか確認します。

営業部PC(192.168.10.10)から開発部PC(192.168.20.10)へのpingをスイッチ側でシミュレートする場合:

C9606R-Core01# ping 192.168.20.10 source vlan 10

出力例:

Type escape sequence to abort.
Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.20.10, timeout is 2 seconds:
Packet sent with a source address of 192.168.10.1
!!!!!
Success rate is 100 percent (5/5), round-trip min/avg/max = 1/1/2 ms

!!!!!(5つのビックマーク)が表示されれば、VLAN間ルーティングが正常に動作しています。

 

ステップ6:設定の保存

C9606R-Core01# write memory
Building configuration...
[OK]

 

 

設定コマンドのまとめ

! IPルーティングの有効化
ip routing

! VLAN 10用SVI
interface vlan 10
 description SALES_Gateway
 ip address 192.168.10.1 255.255.255.0
 no shutdown

! VLAN 20用SVI
interface vlan 20
 description DEVELOP_Gateway
 ip address 192.168.20.1 255.255.255.0
 no shutdown

! VLAN 99用SVI(管理用)
interface vlan 99
 description MGMT_Gateway
 ip address 192.168.99.1 255.255.255.0
 no shutdown

! 設定の保存
end
write memory

 

 

PCのデフォルトゲートウェイ設定について

SVIを設定しても、各PCのデフォルトゲートウェイが設定されていなければVLAN間通信はできません。各PCのネットワーク設定で以下のようにデフォルトゲートウェイを設定してください。

端末IPアドレスサブネットマスクデフォルトゲートウェイ
営業部PC(VLAN10)192.168.10.10255.255.255.0192.168.10.1
開発部PC(VLAN20)192.168.20.10255.255.255.0192.168.20.1
管理端末(VLAN99)192.168.99.10255.255.255.0192.168.99.1

デフォルトゲートウェイは、そのVLANに対応するSVIのIPアドレスを設定します。

 

 

よくあるトラブルと対処法

SVIがup/downになる

Vlan10 is up, line protocol is downとなる場合、そのVLANにアクティブなポートが存在しません。

  • そのVLANに割り当てられたアクセスポートにPCが接続・起動しているか確認する
  • トランクポートでそのVLANが許可されているか確認する(show interfaces trunk

 

VLAN間pingが通らない

以下を順番に確認してください。

  1. show ip routingでIPルーティングが有効か確認
  2. show ip interface briefでSVIがup/upか確認
  3. show ip routeでルーティングテーブルにVLANのネットワークが登録されているか確認
  4. PCのデフォルトゲートウェイが正しく設定されているか確認
  5. ACL(アクセスコントロールリスト)でVLAN間通信がブロックされていないか確認

 

ip routingコマンドが設定されていない

C9606R-Core01# show ip routing
IP routing is disabled

このように表示された場合、configure terminalip routingを実行してください。

 

 

まとめ

今回のポイントをまとめます。

  • SVIはVLANに対応した仮想的なレイヤ3インターフェイス
  • ip routingコマンドでIPルーティングを有効化する(必須)
  • interface vlan [ID]でSVIを作成し、ip addressでIPアドレスを設定する
  • no shutdownでSVIを有効化する
  • SVIのIPアドレスが各VLANのデフォルトゲートウェイになる
  • PCのデフォルトゲートウェイにSVIのIPアドレスを設定することを忘れずに
  • show ip routeでルーティングテーブルを確認する

これでCisco Catalyst 9606Rの基本設定シリーズ(①〜⑤)が一通り完成しました。「機器の初期設定 → セキュアアクセス → VLAN設計 → スイッチ間接続 → VLAN間ルーティング」という実務で必要な一連の設定をカバーできたかと思います。

なお、Catalyst 9606Rは他にもいろいろできます。今まで記載した内容を合わせても全体の3%にも満たないです。それくらい知識の幅も奥行きも必要となりますが、これからも少しずつ学んでいきましょう!

 

【過去記事】

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