そんな人のために、このブログではCisco Catalyst(IOS XE 17.6.x)の初期設定を全7回のシリーズで解説してきました。
この記事では、シリーズ全体の概要と各記事へのリンクをまとめています。「どこから読めばいいかわからない」という人は、この記事を入口にして、必要な設定から読み進めてください。
このシリーズで学べること
このシリーズを通して、以下の設定が一通りできるようになります。
- 機器の基本情報(ホスト名・バナー・タイムゾーン)の設定
- SSHによるセキュアなリモートアクセス環境の構築
- VLANを使ったネットワークの論理分割
- スイッチ間をつなぐトランクポートの設定
- VLAN間でトラフィックをルーティングするSVIの設定
- NTPによる時刻同期
- ACLによるトラフィックのフィルタリング
前提知識:
ネットワークの基礎(IPアドレス、サブネットマスク、VLANの概念)を理解していれば読み進められます。Cisco機器の操作が初めての人でも、コマンドの意味を丁寧に説明しているので安心してください。
動作環境:
- 機器:Cisco Catalyst 9606R
- OS:Cisco IOS XE 17.6.x(Bengaluru)
- 参照元:Cisco公式コンフィギュレーションガイド
シリーズ全体の流れ
7回の設定を順番に行うことで、「まっさらな機器」から「セキュアで運用できる状態」まで仕上げることができます。
【設定の流れ】
① 基本情報の設定
↓
② SSHでセキュアアクセスを確立
↓
③ VLANを作成してネットワークを分割
↓
④ スイッチ間をトランクポートで接続
↓
⑤ SVIでVLAN間のルーティングを有効化
↓
⑥ NTPで時刻を同期
↓
⑦ ACLでトラフィックをフィルタリング
この順番で設定することで、前の設定が次の設定の前提になっているため、スムーズに進められます。
各記事の概要
① ホスト名・バナー・タイムゾーンの設定

機器を導入したら最初に行う3つの基本設定を解説しています。
この記事でできること:
hostnameコマンドで機器に名前をつける- ログイン時に警告を表示するバナーを設定する
- 日本時間(JST)でログが記録されるようにタイムゾーンを設定する
「ホスト名がSwitchのままではどの機器かわからない」「バナーがないと法的リスクがある」——地味に見えてスキップできない設定です。
② SSHの有効化とセキュアアクセス設定

TelnetではなくSSHを使った、安全なリモートアクセス環境の構築方法を解説しています。
この記事でできること:
- RSAキーペアを生成してSSHを有効化する
- SSHv2のみを許可してSSHv1を無効化する
- VTY回線でSSHのみを許可してTelnetを無効化する
- ローカルユーザー認証を設定する
Telnetは通信が平文で流れるため、現在の運用環境では使用すべきではありません。SSHへの切り替えはセキュリティの基本です。
③ VLANの作成とポートへの割り当て設定

ネットワークを論理的に分割するVLANの作成と、ポートへの割り当て方法を解説しています。
この記事でできること:
- VLANを作成して名前をつける
- エンドデバイスが繋がるポートをアクセスポートとして設定する
- 指定したVLANにポートを割り当てる
「物理的な配線を変えずにネットワークを分けたい」「部署ごとにネットワークを分離したい」——VLANはそのニーズを実現する技術です。
④ トランクポート(802.1Q)の設定

スイッチ間で複数のVLANをまとめて転送するトランクポートの設定を解説しています。
この記事でできること:
switchport mode trunkでトランクポートを設定するswitchport trunk allowed vlanで許可するVLANを絞る- ネイティブVLANを変更してセキュリティを高める
- DTPを無効化して意図しないネゴシエーションを防ぐ
「VLANを作ったのに別のスイッチの同じVLANと通信できない」——その原因のほとんどはトランク設定の漏れです。
⑤ SVIでVLAN間ルーティングを設定する

異なるVLAN間でIPトラフィックをルーティングするSVI(スイッチ仮想インターフェイス)の設定を解説しています。
この記事でできること:
ip routingでIPルーティングを有効化するinterface vlan [ID]でSVIを作成する- SVIにIPアドレスを割り当てて各VLANのデフォルトゲートウェイにする
show ip routeでルーティングテーブルを確認する
Catalyst 9606Rのようなレイヤ3スイッチは、外部ルーターなしにSVIを使ってVLAN間ルーティングができます。
⑥ NTPで時刻を同期する設定

ネットワーク機器の時刻を自動で正確に合わせるNTPの設定を解説しています。
この記事でできること:
ntp serverでNTPサーバーを設定する- 複数のNTPサーバーを設定して冗長性を確保する
ntp sourceで送信元インターフェイスを固定するshow ntp statusで同期状態を確認する
時刻がずれると、ログのタイムスタンプがずれて障害対応が困難になります。地味ですが絶対に外せない設定です。
⑦ ACL(アクセスコントロールリスト)の設定

ネットワークのセキュリティポリシーを実装するACLの設定を解説しています。
この記事でできること:
- 名前付き拡張ACLを作成する
- permitとdenyでトラフィックを制御する
- SVIにACLを適用してVLAN間通信を制御する
show ip access-listsでACLの動作を確認する
VLAN間ルーティングを有効にするとすべてのVLAN間通信が通ってしまいます。ACLで「誰が、どこに、何を通せるか」を明示的に定義することが、セキュアなネットワーク構築の最後の仕上げです。
設定の全体像:コマンドまとめ
シリーズ全体で設定したコマンドを一覧にまとめます。
! ========================================
! ① 基本設定
! ========================================
hostname C9606R-Core01
banner motd # [警告メッセージ] #
banner login # [ログインメッセージ] #
clock timezone JST 9
! ========================================
! ② SSH設定
! ========================================
ip domain name shoran.local
username admin privilege 15 secret [パスワード]
crypto key generate rsa modulus 2048
ip ssh version 2
line vty 0 15
transport input ssh
login local
exec-timeout 10 0
! ========================================
! ③ VLAN設定
! ========================================
vlan 10
name SALES
vlan 20
name DEVELOP
vlan 99
name MGMT
interface GigabitEthernet1/0/1
switchport mode access
switchport access vlan 10
interface GigabitEthernet1/0/2
switchport mode access
switchport access vlan 20
! ========================================
! ④ トランクポート設定
! ========================================
interface GigabitEthernet1/0/48
switchport mode trunk
switchport nonegotiate
switchport trunk allowed vlan 10,20,99
switchport trunk native vlan 99
! ========================================
! ⑤ SVI・VLAN間ルーティング設定
! ========================================
ip routing
interface vlan 10
description SALES_Gateway
ip address 192.168.10.1 255.255.255.0
no shutdown
interface vlan 20
description DEVELOP_Gateway
ip address 192.168.20.1 255.255.255.0
no shutdown
interface vlan 99
description MGMT_Gateway
ip address 192.168.99.1 255.255.255.0
no shutdown
! ========================================
! ⑥ NTP設定
! ========================================
ntp server ntp.nict.jp prefer
ntp server ntp.jst.mfeed.ad.jp
ntp source vlan 99
! ========================================
! ⑦ ACL設定
! ========================================
ip access-list extended ACL_SALES_OUT
10 permit tcp 192.168.10.0 0.0.0.255 any eq 80
20 permit tcp 192.168.10.0 0.0.0.255 any eq 443
30 permit icmp 192.168.10.0 0.0.0.255 any
40 deny ip any any log
ip access-list extended ACL_DEVELOP_OUT
10 deny ip 192.168.20.0 0.0.0.255 192.168.10.0 0.0.0.255 log
20 permit ip 192.168.20.0 0.0.0.255 any
interface vlan 10
ip access-group ACL_SALES_OUT out
interface vlan 20
ip access-group ACL_DEVELOP_OUT out
! ========================================
! 設定の保存
! ========================================
end
write memory
確認コマンド一覧
設定後に使う主な確認コマンドをまとめました。
| 確認したいこと | コマンド |
|---|---|
| ホスト名・基本設定の確認 | show running-config |
| SSHの動作確認 | show ip ssh |
| VLANの確認 | show vlan brief |
| トランクポートの確認 | show interfaces trunk |
| SVIの状態確認 | show ip interface brief |
| ルーティングテーブルの確認 | show ip route |
| NTP同期状態の確認 | show ntp status |
| ACLの動作確認 | show ip access-lists |
| 時刻の確認 | show clock |
| 設定全体の確認 | show running-config |
このシリーズで扱わなかった設定
このシリーズは「初期設定」に絞って解説しました。以下のような発展的な設定は今後の記事で順次解説予定です。
- OSPFなどの動的ルーティングプロトコル
- EtherChannel(リンクの冗長化・負荷分散)
- ポートセキュリティ(MACアドレスによるアクセス制限)
- SNMPによる監視設定
- Syslogサーバーへのログ転送
Kindle本を出版しました!こちらにはよりより広く、より詳しく書いているので良かったら読んでみてください!
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まとめ
Cisco Catalyst 9606Rの初期設定シリーズ全7回の内容を振り返りました。
このシリーズで設定した内容は、実際の現場でも使われる基本的かつ重要な設定ばかりです。一度手を動かして覚えてしまえば、他のCisco機器にも応用できます。
また、CCNAの取得を目指している方にも役に立つ情報だと思うので、参考にしていただければと思います!
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