Cisco Catalyst 初期設定⑥|NTPで時刻を同期する設定方法【IOS XE 17.6.x】

ネットワーク技術

 

初期設定①でタイムゾーン(JST)の設定を行いましたが、あのとき「外部ソースがある場合は手動設定は不要」と触れていました。今回はその答えとなるNTP(Network Time Protocol)の設定を解説します。

「初期設定①でタイムゾーン(JST)の設定」と聞いてピンとこなかった方は、最初に以下をご確認いただければと思います。

Cisco Catalyst 初期設定①|ホスト名・バナー・タイムゾーンの設定方法【IOS XE 17.6.x】
ネットワーク機器を導入したら、まず最初にやるべき基本設定があります。それが「ホスト名」「ログインバナー」「タイムゾーン」の設定です。「まだ通信の設定もしていないのに、なんでこんなことから?」と思う人もいるかもしれません。でも、この3つは機器…

 

「時刻なんて大して重要じゃないのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、ネットワーク機器の時刻がずれていると、ログのタイムスタンプがずれて障害の原因特定が困難になり、証明書の有効期限チェックが失敗してSSL通信が切れ、セキュリティ監査のログが信頼できなくなります。時刻の同期は地味だけど絶対に外せない設定です。

 

 

動作環境

  • 機器:Cisco Catalyst 9606R
  • OS:Cisco IOS XE 17.6.x(Bengaluru)
  • 前提:初期設定①(タイムゾーン設定)が完了していること
  • 参照元:Cisco公式システム管理コンフィギュレーションガイド(IOS XE Bengaluru 17.6.x)

 

 

NTPとは

NTP(Network Time Protocol)は、ネットワーク上のデバイス間で時刻を同期させるためのプロトコルです。

公式ドキュメントによると「NTPはきわめて効率的で、1分間に1パケットを使用するだけで、2台のデバイスを1ミリ秒以内に同期化できます」とあります。

NTPはUDP(ポート123番)上で動作し、RFC 1305で規定されています。

 

ストラタムとは

NTPには「ストラタム(Stratum)」という概念があります。これは、信頼できる時刻源から何ホップ離れているかを表す数値です。

ストラタム説明
ストラタム 0原子時計・GPS時計など(ハードウェア)
ストラタム 1ストラタム0に直接接続されたタイムサーバー
ストラタム 2ストラタム1サーバーからNTPで時刻を取得するサーバー
ストラタム 3以降ストラタム2サーバーからNTPで時刻を取得するデバイス

公式ドキュメントに明記されているとおり、CiscoのNTP実装はストラタム1をサポートしません。そのため、インターネット上のパブリックNTPサーバー(ストラタム1または2)から時刻を取得する構成が一般的です。

 

NTPアソシエーションモード

NTPには主に2つのモードがあります。

モードコマンド説明
クライアントモードntp serverNTPサーバーからのみ時刻を受け取る(最もよく使われる)
対称アクティブモードntp peer相互に時刻を交換するピア関係(冗長サーバー間で使用)

一般的なネットワーク機器の設定ではntp server(クライアントモード)を使います。

 

 

日本で使えるパブリックNTPサーバー

NTPサーバーのIPアドレスまたはホスト名を指定する必要があります。日本で利用できる代表的なパブリックNTPサーバーは以下のとおりです。

提供元NTPサーバー
情報通信研究機構(NICT)ntp.nict.jp
インターネットマルチフィードntp.jst.mfeed.ad.jp
NTPプール(日本)0.jp.pool.ntp.org
NTPプール(日本)1.jp.pool.ntp.org

冗長性のため、複数のNTPサーバーを設定することを推奨します

 

 

NTPの設定手順

ステップ1:NTPサーバーの設定

複数のNTPサーバーを設定します。preferキーワードを付けると優先サーバーとして扱われます。

C9606R-Core01# configure terminal

! プライマリNTPサーバー(優先)
C9606R-Core01(config)# ntp server ntp.nict.jp prefer

! セカンダリNTPサーバー
C9606R-Core01(config)# ntp server ntp.jst.mfeed.ad.jp

! サードNTPサーバー
C9606R-Core01(config)# ntp server 0.jp.pool.ntp.org

C9606R-Core01(config)# end

コマンド解説:

コマンド説明
ntp server [IPまたはホスト名]NTPサーバーを指定してクライアントモードで同期する
prefer複数サーバーがある場合に優先して使用するサーバーを指定する

重要: ntp serverコマンドを入力した時点で、NTPがグローバルに有効化されます。

 

ステップ2:NTPの送信元インターフェイスを指定(推奨)

NTPパケットの送信元IPアドレスを管理用インターフェイス(SVI 99)に固定します。これにより、どのインターフェイスからNTPパケットが送信されるかが明確になり、管理がしやすくなります。

C9606R-Core01# configure terminal
C9606R-Core01(config)# ntp source vlan 99
C9606R-Core01(config)# end

 

ステップ3:タイムゾーンの確認

初期設定①でタイムゾーンが設定されているはずですが、念のため確認します。

C9606R-Core01# show clock

出力例(NTP同期前):

*10:05:30.123 UTC Mon Jun 1 2026

*(アスタリスク)が先頭についている場合、まだNTPで同期されていない状態です。タイムゾーンが設定されていなければ以下を設定します。

C9606R-Core01# configure terminal
C9606R-Core01(config)# clock timezone JST 9
C9606R-Core01(config)# end

 

ステップ4:NTP同期状態の確認

NTPの設定後、同期が完了するまで数分かかることがあります。以下のコマンドで同期状態を確認します。

C9606R-Core01# show ntp status

出力例(同期中):

Clock is synchronized, stratum 3, reference is ntp.nict.jp
nominal freq is 250.0000 Hz, actual freq is 250.0001 Hz, precision is 2**10
ntp uptime is 1234 (1/100 of seconds), resolution is 4000
reference time is E9B1234A.12345678 (10:05:30.071 JST Mon Jun 1 2026)
clock offset is 0.1234 msec, root delay is 12.34 msec
root dispersion is 5.678 msec, peer dispersion is 1.234 msec
loopfilter state is 'CTRL' (Normal Controlled Loop), drift is 0.000123456 s/s
system poll interval is 64, last update was 45 sec ago.

確認すべきポイントは以下のとおりです。

フィールド確認内容
Clock is synchronizedNTP同期が完了しているか
stratum 3ストラタム番号(数値が小さいほど精度が高い)
reference is ntp.nict.jpどのNTPサーバーと同期しているか
clock offset時刻のずれ(msec単位、小さいほど良い)

Clock is synchronizedと表示されれば、NTP同期が正常に完了しています。

 

NTPサーバーとの関係を詳しく確認するには:

C9606R-Core01# show ntp associations

出力例:

  address         ref clock       st   when   poll reach  delay  offset   disp
*~ntp.nict.jp     .NICT.           1     45     64   377  12.34   0.123   1.23
+~ntp.jst.mfeed.ad.jp .GPS.        1     52     64   377  15.67   0.456   2.34
 ~0.jp.pool.ntp.org 133.243.238.163 2    58     64   377  20.12   0.789   3.45

先頭の記号の意味は以下のとおりです。

記号意味
*現在同期しているサーバー(選択済み)
+候補サーバー(フォールバック先)
~設定済みサーバー
-除外されたサーバー

 

ステップ5:時刻の確認

NTP同期後、show clockを再度実行して時刻を確認します。

C9606R-Core01# show clock

出力例(NTP同期後):

10:05:30.123 JST Mon Jun 1 2026

先頭の*(アスタリスク)が消えてJSTが表示されていれば、NTPによる時刻同期が正常に動作しています。

 

ステップ6:設定の保存

C9606R-Core01# write memory
Building configuration...
[OK]

 

 

設定コマンドのまとめ

! タイムゾーンの設定(未設定の場合)
clock timezone JST 9

! NTPサーバーの設定
ntp server ntp.nict.jp prefer
ntp server ntp.jst.mfeed.ad.jp
ntp server 0.jp.pool.ntp.org

! NTP送信元インターフェイスの指定(推奨)
ntp source vlan 99

! 設定の保存
end
write memory

 

 

よくあるトラブルと対処法

show ntp statusで「Clock is unsynchronized」と表示される

NTPサーバーとの同期がまだ完了していないか、接続できていません。以下を確認してください。

  • NTPサーバーへの疎通確認(ping ntp.nict.jp
  • DNSが設定されているか(ホスト名を使用している場合)
  • ファイアウォールでUDP 123番ポートがブロックされていないか

同期には数分かかることがあります。設定直後は少し待ってから再確認しましょう。

 

DNSが設定されていない場合はIPアドレスで指定する

ホスト名でNTPサーバーを指定するには、DNSが設定されている必要があります。DNSが設定されていない環境ではIPアドレスで直接指定します。

! NICTのNTPサーバーのIPアドレスで指定する例
C9606R-Core01(config)# ntp server 133.243.238.163 prefer
C9606R-Core01(config)# ntp server 133.243.238.244

 

show ntp associationsでoffsetが大きい

時刻のずれ(offset)が大きい場合、ネットワークの遅延が大きいか、NTPサーバー自体の精度が低い可能性があります。より近いNTPサーバー(地理的・ネットワーク的に)を使用することを検討してください。

 

 

まとめ

今回のポイントをまとめます。

  • NTPはネットワーク機器の時刻を自動同期するプロトコル(UDP 123番)
  • 時刻がずれるとログ・証明書・セキュリティ監査に影響するため必須の設定
  • CiscoのNTP実装はストラタム1をサポートしない(原子時計等には直接接続不可)
  • ntp serverコマンドでNTPサーバーを指定する(複数設定が推奨)
  • preferキーワードで優先サーバーを指定する
  • ntp sourceで送信元インターフェイスを固定する
  • show ntp statusで「Clock is synchronized」を確認する
  • show ntp associationsで各サーバーとの同期状態を詳細確認する

次回はACL(アクセスコントロールリスト)の設定を解説します。どのトラフィックを許可・拒否するかを制御するセキュリティの入門として、実務で最もよく使われる設定のひとつです。

Cisco Catalyst 初期設定⑦|ACL(アクセスコントロールリスト)の設定方法【IOS XE 17.6.x】
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