CCNA(200-301 v1.1)の合格に、いちばん効くのは「問題を解きながら理解する」ことです。この記事は、出題範囲の第1分野「ネットワークの基礎(Network Fundamentals・全体の約20%)」の演習問題を、1問ずつ徹底解説つきでお届けするシリーズ第1弾です。
解説では、正解の理由だけでなく、不正解の選択肢がなぜ違うのか、そして関連するCisco IOSコマンドまで説明しています。まずは何も見ずに解いて、そのあと解説をじっくり読んでください。
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ネットワークの基礎 演習問題(全10問)
問題1
OSI参照モデルで、IPアドレスを使って端末間の経路選択(ルーティング)を行う層はどれか。
A. データリンク層
B. トランスポート層
C. ネットワーク層
D. 物理層
正解 C
【解説】
答えはネットワーク層(第3層)です。OSI参照モデルは通信を7つの層に分けたモデルで、第3層のネットワーク層がIPアドレスを使って「どの経路で相手まで届けるか」を決めます(ルーティング)。ルーターが動作するのがこの層です。第2層のデータリンク層はMACアドレスで同一ネットワーク内の転送を担い、第4層のトランスポート層はTCP/UDPで信頼性やポート番号を扱います。層ごとに役割を整理するのがCCNAの基本です。
各選択肢の解説
A:データリンク層(第2層)はMACアドレスでの転送。ルーティングではない。
B:トランスポート層(第4層)はTCP/UDPを扱う。
C:正しい。IPアドレスで経路選択を行う第3層。
D:物理層(第1層)は電気信号やケーブルなど。
試験対策ポイント:「IPアドレス・ルーティング=ネットワーク層(第3層・ルーター)」。
ワンポイント:第2層=MAC・スイッチ、第3層=IP・ルーター、の対応を暗記。
関連知識:TCP/IPモデルでは、ネットワーク層はインターネット層に相当する。
問題2
信頼性を重視し、再送制御や順序制御によって確実にデータを届けるトランスポート層のプロトコルはどれか。
A. TCP
B. UDP
C. IP
D. ICMP
正解 A
【解説】
答えはTCPです。TCP(Transmission Control Protocol)は、3ウェイハンドシェイクで接続を確立し、再送制御・順序制御・フロー制御によってデータを確実に届けることを重視します。Webやメールなど正確さが必要な通信で使われます。対するUDPは、確認をせず高速に送るぶん信頼性は低く、音声・動画・DNSなど速さ優先の通信で使われます。「確実=TCP、速さ=UDP」で覚えます。
各選択肢の解説
A:正しい。再送・順序制御で確実に届ける。
B:UDPは確認なしで高速だが信頼性は低い。
C:IPはネットワーク層のプロトコルで、経路を担う。
D:ICMPはpingなどに使う制御・通知用プロトコル。
試験対策ポイント:「確実に届ける=TCP、速さ優先=UDP」。
ワンポイント:TCPは3ウェイハンドシェイク(SYN→SYN/ACK→ACK)で接続確立。
関連知識:HTTP/HTTPS・SMTPはTCP、DNS・DHCP・音声はUDPが基本。
問題3
受信したフレームの宛先MACアドレスを見て、該当するポートだけに転送する(MACアドレステーブルを使う)ネットワーク機器はどれか。
A. ハブ
B. ルーター
C. アクセスポイント
D. スイッチ
正解 D
【解説】
答えはスイッチです。スイッチは、受信したフレームの宛先MACアドレスを見て、MACアドレステーブルを参照し、該当するポートだけにフレームを転送します。これによりムダな通信を減らせます(ハブは全ポートにばらまく)。CiscoスイッチではMACアドレステーブルを show mac address-table で確認できます。スイッチは第2層(データリンク層)で動作する代表的な機器です。
各選択肢の解説
A:ハブは受信した信号を全ポートに送る(第1層)。宛先を見ない。
B:ルーターはIPアドレスで経路選択する第3層機器。
C:アクセスポイントは無線と有線をつなぐ機器。
D:正しい。MACアドレスで該当ポートに転送する第2層機器。
試験対策ポイント:「MACアドレスで転送=スイッチ(第2層)」。
ワンポイント:MACアドレステーブルは show mac address-table で確認。
関連知識:学習していない宛先はフラッディング(全ポート転送)する動作も押さえる。
問題4
次のうち、プライベートIPアドレスの範囲に含まれるものはどれか。
A. 8.8.8.8
B. 192.168.10.1
C. 172.32.0.1
D. 200.1.1.1
正解 B
【解説】
答えは192.168.10.1です。プライベートIPアドレスは社内など閉じたネットワークで自由に使えるアドレスで、範囲は10.0.0.0〜10.255.255.255、172.16.0.0〜172.31.255.255、192.168.0.0〜192.168.255.255の3つです。192.168系は家庭やオフィスで最もよく使われます。ひっかけの172.32.0.1は、172.16〜172.31の範囲を外れているためプライベートではありません(境界が頻出)。
各選択肢の解説
A:8.8.8.8はGoogleのDNSで、グローバル(パブリック)IP。
B:正しい。192.168系はプライベートIP。
C:172.32.0.1はプライベート範囲(172.16〜172.31)を外れており、パブリック。
D:200.1.1.1はパブリックIP。
試験対策ポイント:「プライベート=10/172.16-31/192.168」。172は16〜31までが境界。
ワンポイント:172.32はプライベートではない、が定番のひっかけ。
関連知識:プライベートIPは外部通信時にNATでグローバルIPへ変換される。
問題5
サブネットマスク /26(255.255.255.192)の1サブネットに割り当てられる、利用可能なホスト数はいくつか。
A. 62
B. 64
C. 30
D. 126
正解 A
【解説】
答えは62です。/26はサブネットマスク255.255.255.192で、ホスト部が6ビット。2の6乗=64個のアドレスがありますが、そのうちネットワークアドレスとブロードキャストアドレスの2つは端末に使えないため、利用可能なホスト数は64−2=62です。「使えるホスト数=2のホストビット乗−2」がサブネット計算の基本式です。
各選択肢の解説
A:正しい。64−2=62。
B:64は総アドレス数で、使えない2つを引いていない。
C:30は/27(32−2)の値。
D:126は/25(128−2)の値。
試験対策ポイント:「使えるホスト数=2^(ホストビット)−2」。/26は62。
ワンポイント:/24=254、/25=126、/26=62、/27=30、/28=14。表で暗記。
関連知識:サブネット化はIPアドレスの節約とブロードキャスト範囲の縮小に有効。
問題6
IPv6アドレスの長さは何ビットか。
A. 32ビット
B. 64ビット
C. 128ビット
D. 48ビット
正解 C
【解説】
答えは128ビットです。IPv4が32ビット(約43億個)でアドレス枯渇が問題になったのに対し、IPv6は128ビットで事実上枯渇しない膨大なアドレス空間を持ちます。表記は16進数を「:」で区切る形(例:2001:db8::1)で、連続する0は「::」で1回だけ省略できます。IPv6ではブロードキャストがなく、代わりにマルチキャストやエニーキャストを使う点も特徴です。
各選択肢の解説
A:32ビットはIPv4の長さ。
B:64ビットはIPv6のうちインターフェースID部の長さ(全体ではない)。
C:正しい。IPv6は128ビット。
D:48ビットはMACアドレスの長さ。
試験対策ポイント:「IPv4=32ビット、IPv6=128ビット、MAC=48ビット」。
ワンポイント:IPv6は「::」で連続する0を1回だけ省略できる。
関連知識:IPv6にはブロードキャストがなく、マルチキャスト等を使う。
問題7
長距離・高速で、電気的なノイズ(電磁干渉)の影響を受けにくい伝送に最も適したケーブルはどれか。
A. UTPケーブル
B. 光ファイバーケーブル
C. 同軸ケーブル
D. シリアルケーブル
正解 B
【解説】
答えは光ファイバーケーブルです。光ファイバーは光信号でデータを送るため、電気的なノイズの影響を受けにくく、長距離かつ高速な伝送に適しています。銅線(UTP)は安価で扱いやすい反面、距離(一般に100mまで)やノイズに弱いという制約があります。データセンター間や基幹の長距離回線では光ファイバーが使われます。
各選択肢の解説
A:UTPケーブル(銅線)は安価だが、距離約100m・ノイズに弱い。
B:正しい。長距離・高速・ノイズに強い。
C:同軸ケーブルは旧来の配線で、現在のLAN主流ではない。
D:シリアルケーブルは機器管理(コンソール接続)などに使う。
試験対策ポイント:「長距離・高速・ノイズに強い=光ファイバー」。
ワンポイント:UTPは約100mまで。それを超える・ノイズ環境は光ファイバー。
関連知識:光ファイバーにはシングルモード(長距離)とマルチモード(短〜中距離)がある。
問題8
同じネットワーク内で、相手のIPアドレスから対応するMACアドレスを調べるために使われるプロトコルはどれか。
A. DNS
B. DHCP
C. ICMP
D. ARP
正解 D
【解説】
答えはARPです。ARP(Address Resolution Protocol)は、同じネットワーク内で「このIPアドレスの相手のMACアドレスは何か?」を問い合わせて解決するプロトコルです。相手のIPは分かってもMACが分からないと第2層で届けられないため、ARPが橋渡しをします。CiscoではARPの対応表を show ip arp で確認できます。IPとMACをひも付ける、という役割を押さえましょう。
各選択肢の解説
A:DNSはドメイン名からIPアドレスを調べる。
B:DHCPはIPアドレスを自動で割り当てる。
C:ICMPはpingなどの到達確認・エラー通知。
D:正しい。IPからMACアドレスを解決する。
試験対策ポイント:「IP→MACの解決=ARP」。
ワンポイント:ARP対応表は show ip arp で確認できる。
関連知識:DNSは名前→IP、ARPはIP→MAC。対応を混同しない。
問題9
1台の物理サーバー上で複数の仮想マシン(VM)を動かす基盤となるソフトウェアはどれか。
A. ハイパーバイザー
B. コンテナ
C. ロードバランサ
D. スイッチ
正解 A
【解説】
答えはハイパーバイザーです。1台の物理サーバー上で複数の仮想マシン(VM)を動かすための基盤ソフトで、物理資源(CPU・メモリ)を各VMに割り振ります。近年はネットワークもサーバー仮想化と密接に関わり、CCNAでも仮想化の基礎が問われます。ハードウェア上で直接動くType 1(VMware ESXiなど)と、OS上で動くType 2に分かれます。
各選択肢の解説
A:正しい。複数のVMを動かす基盤ソフト。
B:コンテナはOSを共有してアプリを軽量に隔離する別技術。
C:ロードバランサは負荷を分散する装置。
D:スイッチはフレームを転送する機器。
試験対策ポイント:「複数VMの基盤=ハイパーバイザー」。
ワンポイント:Type 1(ハード直上・高性能)とType 2(OS上・手軽)。
関連知識:コンテナ(Docker)はOS共有で軽量。VMとの違いも問われる。
問題10
スイッチとルーターの違いとして正しいものはどれか。
A. スイッチはブロードキャストドメインを分割する
B. ルーターはMACアドレスでフレームを転送する
C. ルーターはブロードキャストドメインを分割し、スイッチはコリジョンドメインを分割する
D. どちらもまったく同じ役割である
正解 C
【解説】
答えはCです。ルーターは第3層(IP)で動作し、ブロードキャストドメインを分割します(=ネットワークを分ける)。スイッチは第2層(MAC)で動作し、ポートごとにコリジョンドメインを分割します。つまり「ルーター=ブロードキャストドメインを分ける/スイッチ=コリジョンドメインを分ける」が正解です。VLANを使えばスイッチでもブロードキャストドメインを分割できますが、基本の対比としてこの違いを押さえます。
各選択肢の解説
A:スイッチが分割するのはコリジョンドメイン。ブロードキャストドメインはルーター(またはVLAN)。
B:MACで転送するのはスイッチ。ルーターはIPで転送する。
C:正しい。ルーター=ブロードキャスト、スイッチ=コリジョンを分割。
D:役割は異なる。
試験対策ポイント:「ルーター=ブロードキャストドメイン分割/スイッチ=コリジョンドメイン分割」。
ワンポイント:VLANを使うと、スイッチでもブロードキャストドメインを分割できる。
関連知識:ルーターは第3層、スイッチは第2層。動作する層の違いが根っこ。
■ ここまでのミニまとめ(問題1〜10)
復習:IPで経路選択=ネットワーク層(第3層)/確実に届ける=TCP/MACで転送=スイッチ/プライベートIP=10・172.16-31・192.168//26は使えるホスト62/IPv6=128ビット/長距離高速=光ファイバー/IP→MAC=ARP/VMの基盤=ハイパーバイザー/ブロードキャスト分割=ルーター。
頻出:①第2層(MAC・スイッチ)と第3層(IP・ルーター)の違い②TCPとUDP③サブネット計算(2^n−2)④プライベートIPの範囲。ここは特に狙われます。
現役エンジニアの視点:実務での使いどころ
ネットワークの基礎は、CCNAだけでなく実務の土台そのものです。現場で毎日のように使うのが「第2層(MAC/スイッチ)と第3層(IP/ルーター)の違い」と「サブネット計算」。特にサブネットは、設計でも障害対応でも瞬時に暗算できると強いです。ここを曖昧にしたまま先に進むと、後のルーティングで必ずつまずきます。最初に固めるのが正解です。
おわりに
お疲れさまでした。ネットワークの基礎は、CCNA全体の土台です。特に「第2層(MAC・スイッチ)と第3層(IP・ルーター)の違い」「TCPとUDP」「サブネット計算」は、他の分野を理解する前提になります。ここを固めると、この後のルーティングやセキュリティがぐっと楽になります。
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※掲載問題はすべて筆者が公式の出題範囲をもとに独自に作成したオリジナルです。実際の試験問題ではありません。試験仕様は改訂される場合があるため、受験前にCisco公式でご確認ください。
CCNA問題集シリーズ 全6回(分野別)
分野別に、1問ずつ徹底解説つきで公開しています。弱点分野からどうぞ。
- ①ネットワークの基礎(この記事)
- ②ネットワークアクセス
- ③IPコネクティビティ
- ④IPサービス
- ⑤セキュリティの基礎
- ⑥自動化とプログラマビリティ


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