この記事は、CCNA(200-301 v1.1)の第3分野「IPコネクティビティ(IP Connectivity・全体の約25%)」の演習問題を、1問ずつ徹底解説つきでお届けするシリーズ第3弾です。CCNA最大の配点を占める、ルーティングの核心分野です。
解説では、正解の理由だけでなく、不正解の選択肢がなぜ違うのか、関連するCisco IOSコマンドまで説明しています。経路選択の考え方をここで固めましょう。
【PR】
IPコネクティビティ 演習問題(全10問)
問題1
ルーターで、ある宛先に該当するルートが複数ある場合、最も優先して使われるルートはどれか。
A. アドミニストレーティブディスタンスが最も大きいルート
B. メトリックが最も大きいルート
C. 最初に学習したルート
D. 最も長いプレフィックス(サブネットマスク)が一致するルート
正解 D
【解説】
答えは「最も長いプレフィックスが一致するルート」です。ルーターは宛先IPに対して、ルーティングテーブルの中から最も具体的に一致するルート(ロンゲストマッチ)を選びます。たとえば10.1.1.0/24と10.0.0.0/8の両方が該当する場合、より詳しい/24が優先されます。これは信頼度(AD)やメトリックより先に適用される、経路選択の大原則です。
各選択肢の解説
A:ADは小さいほど優先。大きいほど優先は誤り。
B:メトリックも小さいほど優先。
C:学習の順番では決まらない。
D:正しい。最も具体的(長いプレフィックス)なルートが優先される。
試験対策ポイント:「経路選択の最優先=ロンゲストマッチ(最長プレフィックス一致)」。
ワンポイント:同じプレフィックス長で複数源から学習した場合に、次にADで比較する。
関連知識:さらに同じADなら、メトリックが小さいルートが選ばれる。
問題2
管理者が、宛先ネットワークと次の転送先(next-hop)を手動で設定する経路情報を何というか。
A. ダイナミックルート
B. スタティックルート
C. デフォルトゲートウェイ
D. 接続ルート
正解 B
【解説】
答えはスタティックルートです。スタティックルートは、管理者が手動で「この宛先にはこの方向へ」と設定する固定の経路です。小規模で構成が変わりにくい環境では、シンプルで負荷も少なく確実です。設定例は ip route 192.168.2.0 255.255.255.0 10.0.0.2 のように、宛先・マスク・next-hopを指定します。規模が大きくなると、自動で経路を学習するダイナミックルーティング(OSPFなど)が有利になります。
各選択肢の解説
A:ダイナミックルートはOSPFなどが自動で学習する経路。
B:正しい。管理者が手動で設定する固定経路。
C:デフォルトゲートウェイは端末が外部へ出る際の出口。役割が異なる。
D:接続ルートはインターフェース設定で自動生成される直結経路。
試験対策ポイント:「手動設定の固定経路=スタティックルート」。
ワンポイント:設定は ip route 宛先 マスク next-hop。
関連知識:小規模はスタティック、大規模はダイナミック(OSPF等)が向く。
問題3
宛先がルーティングテーブルのどのルートにも一致しないときに使う「最後の手段」の経路はどれか。
A. デフォルトルート(0.0.0.0/0)
B. ホストルート
C. 接続ルート
D. ルートブリッジ
正解 A
【解説】
答えはデフォルトルート(0.0.0.0/0)です。デフォルトルートは、宛先がどのルートにも一致しなかったときに使う「最後の手段(gateway of last resort)」です。すべての宛先に一致する0.0.0.0/0として表現され、主にインターネット方向への出口として設定します。設定例は ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 next-hop です。
各選択肢の解説
A:正しい。どのルートにも一致しないときの最後の手段。
B:ホストルートは/32の特定1台向けルート。
C:接続ルートは直結ネットワークの経路。
D:ルートブリッジはSTPの基準スイッチで、ルーティングとは無関係。
試験対策ポイント:「最後の手段=デフォルトルート(0.0.0.0/0)」。
ワンポイント:設定は ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 next-hop。
関連知識:show ip route で gateway of last resort として表示される。
問題4
同じ宛先ネットワークを複数のルーティング情報源(例:OSPFとスタティック)から学習したとき、どちらを信頼するかを決める値はどれか。
A. メトリック
B. ホップ数
C. アドミニストレーティブディスタンス(AD)
D. プレフィックス長
正解 C
【解説】
答えはアドミニストレーティブディスタンス(AD)です。ADは、ルーティング情報源の「信頼度」を表す値で、小さいほど信頼されます。たとえば同じ宛先をスタティック(AD1)とOSPF(AD110)の両方で学習した場合、ADの小さいスタティックが採用されます。プレフィックス長が同じ前提で、どの情報源を信じるかを決めるのがADの役割です。
各選択肢の解説
A:メトリックは同じプロトコル内での経路の良し悪しを比べる値。情報源の信頼度ではない。
B:ホップ数はRIPが使うメトリックの一種。
C:正しい。情報源の信頼度を表し、小さいほど優先。
D:プレフィックス長は一致の具体性で、ADより先に評価される別の指標。
試験対策ポイント:「情報源の信頼度=AD(小さいほど優先)」。
ワンポイント:経路選択は、ロンゲストマッチ→AD→メトリックの順で評価される。
関連知識:メトリックは同一プロトコル内での比較に使う。ADと役割が違う。
問題5
リンクステート型で、コスト(帯域幅にもとづく値)を使って最短経路を計算する、CCNAで中心的に問われるルーティングプロトコルはどれか。
A. RIP
B. EIGRP
C. BGP
D. OSPF
正解 D
【解説】
答えはOSPFです。OSPF(Open Shortest Path First)は、各ルーターがネットワーク全体の地図(リンクステート情報)を共有し、コスト(帯域幅にもとづく値)を使って最短経路を計算するリンクステート型のプロトコルです。業界標準で広く使われ、CCNAではシングルエリアOSPFが中心に問われます。設定は router ospf 1 とインターフェースのarea指定などで行います。
各選択肢の解説
A:RIPはホップ数で経路を決める旧来型の距離ベクトル型で、最大15ホップの制限がある。
B:EIGRPはCisco系の高度な距離ベクトル型(近年は標準化)。CCNAの中心はOSPF。
C:BGPはインターネット全体をつなぐ経路制御に使う大規模向けプロトコル。
D:正しい。リンクステート型で、コストで最短経路を計算する。
試験対策ポイント:「リンクステート・コスト・標準=OSPF」。CCNAの中心。
ワンポイント:OSPFはエリアで区切って管理する。CCNAはシングルエリアが中心。
関連知識:RIP=ホップ数、OSPF=コスト、と指標の違いを押さえる。
問題6
OSPFが最短経路の計算に使う指標(メトリック)は、何にもとづいて決まるか。
A. 帯域幅にもとづくコスト
B. ホップ数
C. 遅延と帯域の複合値
D. アドミニストレーティブディスタンス
正解 A
【解説】
答えは「帯域幅にもとづくコスト」です。OSPFは、各リンクの帯域幅(速度)からコストを算出し、宛先までのコストの合計が最も小さい経路を最短経路として選びます。帯域が広い(速い)リンクほどコストが小さく、優先されます。単純にホップ数(経由するルーターの数)で決めるRIPとは異なり、回線の速さを反映できるのが利点です。
各選択肢の解説
A:正しい。帯域幅にもとづくコストで最短経路を決める。
B:ホップ数で決めるのはRIP。
C:遅延と帯域の複合はEIGRPのメトリックの考え方に近い。
D:ADは情報源の信頼度で、経路計算の指標そのものではない。
試験対策ポイント:「OSPFのメトリック=帯域幅ベースのコスト」。
ワンポイント:帯域が広いほどコストが小さく、優先される。
関連知識:RIP(ホップ数)との違いが頻出。回線速度を反映できるのがOSPF。
問題7
ルーターのインターフェースにIPアドレスを設定して有効(up)にすると、自動的にルーティングテーブルに載る、その直結ネットワークの経路を何というか。
A. スタティックルート
B. デフォルトルート
C. 接続(connected)ルート
D. OSPFルート
正解 C
【解説】
答えは接続(connected)ルートです。ルーターのインターフェースにIPアドレスを設定し、そのインターフェースがupになると、直接つながっているネットワークの経路が自動的にルーティングテーブルに登録されます。これが接続ルートで、show ip route では「C」(connected)や「L」(local)として表示されます。手動設定も学習も不要で、最も信頼度が高い(AD0)ルートです。
各選択肢の解説
A:スタティックルートは管理者が手動で設定する経路。
B:デフォルトルートは最後の手段の経路。
C:正しい。直結ネットワークが自動登録される経路(AD0)。
D:OSPFルートはOSPFが学習する経路。
試験対策ポイント:「直結が自動登録=接続(connected)ルート(AD0で最優先)」。
ワンポイント:show ip route でC(connected)/L(local)と表示される。
関連知識:ルーティングの出発点は、まず接続ルートが正しく上がっているか。
問題8
複数のルーターで1つの仮想IPアドレスを共有し、端末のデフォルトゲートウェイを冗長化するCisco独自のプロトコルはどれか。
A. OSPF
B. HSRP
C. STP
D. DHCP
正解 B
【解説】
答えはHSRPです。HSRP(Hot Standby Router Protocol)は、複数のルーターで1つの仮想IPアドレスを共有し、端末から見た「デフォルトゲートウェイ」を冗長化するCisco独自のプロトコルです。普段はアクティブルーターが処理し、故障するとスタンバイルーターが自動で引き継ぐため、通信が途切れにくくなります。業界標準版のVRRPや、負荷分散もできるGLBPもあります。
各選択肢の解説
A:OSPFはルート情報を交換するルーティングプロトコルで、GWの冗長化ではない。
B:正しい。仮想IPでデフォルトゲートウェイを冗長化するCisco独自プロトコル。
C:STPはスイッチのループ防止。
D:DHCPはIPアドレスの自動割り当て。
試験対策ポイント:「デフォルトゲートウェイの冗長化=HSRP(Cisco独自)」。
ワンポイント:故障時にアクティブからスタンバイへ自動で切り替わる。
関連知識:標準版はVRRP、負荷分散もできるのがGLBP(First Hop Redundancy)。
問題9
Ciscoルーターで、スタティックルートの既定のアドミニストレーティブディスタンス(AD)の値はどれか。
A. 90
B. 110
C. 120
D. 1
正解 D
【解説】
答えは1です。ADは情報源の信頼度で、小さいほど信頼されます。主な既定値は、接続ルート=0、スタティックルート=1、EIGRP=90、OSPF=110、RIP=120です。スタティックはAD1と非常に小さいため、同じ宛先をOSPFなどでも学習していても、通常はスタティックが優先されます。この数値は頻出なので暗記しておきましょう。
各選択肢の解説
A:90はEIGRPの既定AD。
B:110はOSPFの既定AD。
C:120はRIPの既定AD。
D:正しい。スタティックルートの既定ADは1。
試験対策ポイント:「AD暗記:接続0/スタティック1/EIGRP90/OSPF110/RIP120」。
ワンポイント:ADが小さいほど信頼され、優先される。
関連知識:スタティック(1)はOSPF(110)より優先される、が定番の出題。
問題10
ルーターの現在のルーティングテーブル(学習・設定されているルート情報)を確認するコマンドはどれか。
A. show ip route
B. show running-config
C. show vlan brief
D. show cdp neighbors
正解 A
【解説】
答えは show ip route です。このコマンドで、ルーターが現在持っているルーティングテーブル(宛先ネットワークと、それぞれの経路の学習元・next-hop)を一覧で確認できます。各ルートの先頭には情報源を示すコード(C=接続、S=スタティック、O=OSPF など)が付きます。ルーティングのトラブルシューティングは、まずこのコマンドで「目的の経路があるか」を確認するのが基本です。
各選択肢の解説
A:正しい。ルーティングテーブルを確認するコマンド。
B:show running-config は現在の設定全体を表示する(ルート専用ではない)。
C:show vlan brief はVLANの一覧を表示する。
D:show cdp neighbors は隣接Cisco機器を表示する。
試験対策ポイント:「ルーティングテーブル確認=show ip route」。
ワンポイント:先頭のコード(C/S/O など)で経路の学習元がわかる。
関連知識:まず目的の経路が載っているかを確認するのが切り分けの第一歩。
■ ここまでのミニまとめ(問題1〜10)
復習:最優先=ロンゲストマッチ/手動設定=スタティックルート/最後の手段=デフォルトルート(0.0.0.0/0)/情報源の信頼度=AD(小さいほど優先)/リンクステート・コスト=OSPF/OSPFのメトリック=帯域ベースのコスト/直結の自動登録=接続ルート/GW冗長化=HSRP/スタティックのAD=1/テーブル確認=show ip route。
頻出:①経路選択の順序(ロンゲストマッチ→AD→メトリック)②AD既定値(0/1/90/110/120)③OSPFはコスト、RIPはホップ数④HSRPでGW冗長化。ここは最大配点(25%)の分野です。
現役エンジニアの視点:実務での使いどころ
ルーティングはCCNA最大の山場で、実務でもいちばん奥が深い分野です。現場では「なぜこの経路が選ばれるのか(ロンゲストマッチ→AD→メトリック)」を理解しているかで、障害切り分けのスピードが変わります。show ip route を読んで、C/S/O のコードから経路の学習元を瞬時に判断できるかが一つの壁。ここを越えると、ネットワークの動きが一気に見えるようになります。
おわりに
お疲れさまでした。IPコネクティビティはCCNAで最も配点が大きく、合否を左右する分野です。「経路選択の順序(ロンゲストマッチ→AD→メトリック)」「ADの既定値」「OSPFの仕組み」は繰り返し問われます。ここを得点源にできれば、合格がぐっと近づきます。
【PR】
※掲載問題はすべて筆者が公式の出題範囲をもとに独自に作成したオリジナルです。実際の試験問題ではありません。試験仕様は改訂される場合があるため、受験前にCisco公式でご確認ください。
CCNA問題集シリーズ 全6回(分野別)
分野別に、1問ずつ徹底解説つきで公開しています。弱点分野からどうぞ。
- ①ネットワークの基礎
- ②ネットワークアクセス
- ③IPコネクティビティ(この記事)
- ④IPサービス
- ⑤セキュリティの基礎
- ⑥自動化とプログラマビリティ


コメント