【CompTIA Security+問題集】⑧総合問題徹底解説つき「初心者向け無料演習」

CompTIA Security+

この記事は、CompTIA Security+ 問題集シリーズの最終回・第8弾「総合問題」です。これまでの①〜⑦で学んだ知識を横断し、実務でありがちなシナリオも交えて、1問ずつ徹底解説します。分野をまたいで考える力=本番で問われる力を、ここで仕上げましょう。

解説では、正解の理由だけでなく、不正解の選択肢がなぜ違うのかまで説明しています。まずは何も見ずに解いて、弱点分野が見つかったら、該当するシリーズ記事に戻って復習してください。

総合問題 演習問題(全10問)

問題1

情報を許可された人だけが見られるようにする、CIAの3要素のうち「機密性」を守る代表的な対策はどれか。

A. バックアップ
B. ハッシュによる改ざん検知
C. データの暗号化
D. 冗長化

正解 C

【解説】
答えはデータの暗号化です。情報セキュリティの土台となるCIAの3要素——機密性(Confidentiality)、完全性(Integrity)、可用性(Availability)——のうち、機密性は「許可された人だけが情報を見られる」状態を指します。これを守る代表的な対策が、データの暗号化とアクセス制御です。鍵を持つ人以外には中身が読めないため、盗まれても情報が漏れません。

各選択肢の解説
A:バックアップは可用性を守る対策。
B:ハッシュによる改ざん検知は完全性を守る対策。
C:正しい。暗号化は機密性を守る代表策。
D:冗長化は可用性を守る対策。

試験対策ポイント:「機密性=暗号化・アクセス制御」。CIAと対策の対応を押さえる。
ワンポイント:機密性=暗号化、完全性=ハッシュ、可用性=バックアップ/冗長化。
関連知識:CIAはセキュリティのすべての土台。どの対策がどれを守るかで整理する。

問題2

サーバーを二重化(冗長化)し、1台が壊れてもサービスを止めないようにするのは、CIAのどれを守る対策か。

A. 機密性
B. 可用性
C. 完全性
D. 否認防止

正解 B

【解説】
答えは可用性です。サーバーを二重化(冗長化)して、1台が壊れてもサービスを止めない——これはCIAのうち可用性(Availability:必要なときに使えること)を守る対策です。ほかにも、負荷分散、バックアップ、DDoS対策などが可用性の維持に貢献します。ランサムウェアやDDoSは、この可用性を狙う攻撃だと整理できます。

各選択肢の解説
A:機密性は「見られないこと」で、暗号化などで守る。
B:正しい。冗長化は可用性(使えること)を守る。
C:完全性は「改ざんされないこと」で、ハッシュなどで守る。
D:否認防止はCIAの3要素ではない(デジタル署名などで実現)。

試験対策ポイント:「冗長化・バックアップ=可用性」。止めない・使えるを守る。
ワンポイント:ランサムやDDoSは可用性への攻撃。冗長化とバックアップで対抗。
関連知識:可用性の指標が稼働率(99.9%など)で、SLAで約束される。

問題3

ファイアウォール・IPS・アンチウイルス・教育など、性質の異なる複数の対策を層状に重ねて守る考え方はどれか。

A. 最小権限
B. ゼロトラスト
C. 責任共有
D. 多層防御(Defense in Depth)

正解 D

【解説】
答えは多層防御(Defense in Depth)です。ファイアウォール、IPS、アンチウイルス、そして人への教育まで、性質の異なる複数の対策を層状に重ねる考え方です。1つの対策が破られても、次の層で止められるため、全体として堅くなります。「城の堀・壁・門を何重にも設ける」イメージです。単一の対策に依存しないことが、現実的なセキュリティの基本です。

各選択肢の解説
A:最小権限は必要最小限の権限を与える原則。
B:ゼロトラストは何も信用せず都度検証する思想。
C:責任共有はクラウドの責任分担の考え方。
D:正しい。複数の対策を層状に重ねる考え方。

試験対策ポイント:「対策を層状に重ねる=多層防御」。1つ破られても次で止める。
ワンポイント:技術だけでなく、人(教育)や物理も層に含めるのがポイント。
関連知識:ゼロトラストと組み合わせると、境界内部でも多層で守れる。

問題4

社員が機密ファイルをUSBメモリや個人メールで外部に持ち出そうとするのを検知・ブロックする仕組みはどれか。

A. DLP(データ損失防止)
B. WAF
C. IDS
D. VPN

正解 A

【解説】
答えはDLP(Data Loss Prevention:データ損失防止)です。社員が機密ファイルをUSBメモリや個人のメール、クラウドストレージへ持ち出そうとするのを検知・ブロックする仕組みです。情報の中身(マイナンバー、カード番号などのパターン)を見て、ルールに反する持ち出しを止めます。内部からの情報漏えい対策の要となる技術です。

各選択肢の解説
A:正しい。機密情報の外部持ち出しを検知・防止する。
B:WAFはWebアプリへの攻撃を防ぐ。
C:IDSは侵入検知。
D:VPNは通信の暗号化。

試験対策ポイント:「情報の持ち出しを防ぐ=DLP」。内部からの漏えい対策。
ワンポイント:メール・USB・クラウドなど、複数の出口を監視するのがDLP。
関連知識:内部脅威(うっかり・悪意)対策として、教育・権限管理と併用する。

問題5

攻撃者をわざとおびき寄せ、手口の観察や本番システムからの誘導に使う「おとり」の仕組みはどれか。

A. DMZ
B. サンドボックス
C. ハニーポット
D. プロキシ

正解 C

【解説】
答えはハニーポットです。あえて攻撃者をおびき寄せる「おとり」のシステムで、わざと弱そうに見せて攻撃を誘い込みます。狙いは2つ——攻撃者の手口を観察して学ぶことと、本番システムから注意をそらすことです。実例として、偽のサーバーやサービスを設置して、そこへのアクセスを監視します。

各選択肢の解説
A:DMZは公開サーバーを置く緩衝地帯で、おとりではない。
B:サンドボックスは、不審なファイルを隔離環境で安全に実行して調べる仕組み。
C:正しい。攻撃者をおびき寄せるおとり。
D:プロキシは通信を中継する仕組み。

試験対策ポイント:「攻撃者をおびき寄せるおとり=ハニーポット」。
ワンポイント:複数のハニーポットを網状に配置したものをハニーネットと呼ぶ。
関連知識:サンドボックス(隔離実行)との違いに注意。目的が異なる。

問題6

認証された人のすぐ後ろにくっついて、許可なく施設へ入り込む「共連れ(テールゲーティング)」を防ぐ物理的な対策はどれか。

A. マントラップ(二重扉)
B. ファイアウォール
C. 暗号化
D. MFA

正解 A

【解説】
答えはマントラップ(二重扉)です。認証された人のすぐ後ろにくっついて、許可なく施設へ入り込む共連れ(テールゲーティング)を防ぐ物理的な対策です。二重扉の間に一人ずつしか入れない構造にし、1枚目が閉じてから2枚目が開くことで、なりすましの侵入を防ぎます。セキュリティは、サイバーだけでなく物理も重要という好例です。

各選択肢の解説
A:正しい。二重扉で共連れ(テールゲーティング)を防ぐ物理対策。
B:ファイアウォールは通信の制御で、物理侵入は防げない。
C:暗号化はデータ保護で、物理侵入とは無関係。
D:MFAは本人確認だが、共連れそのものは防げない。

試験対策ポイント:「共連れ(テールゲーティング)対策=マントラップ(二重扉)」。
ワンポイント:物理セキュリティも試験範囲。監視カメラ・施錠・警備員も対策に含む。
関連知識:ソーシャルエンジニアリングの一種である共連れは、物理対策と教育で防ぐ。

問題7

「経理部です。至急この口座に振り込んでください」という、上司名の急な振込指示メールが届いた。最も適切な初動はどれか。

A. すぐに指示どおり振り込む
B. メール以外の手段(電話など)で本人に直接確認する
C. 添付リンクを開いて内容を確認する
D. 同僚に転送して意見を聞く

正解 B

【解説】
答えは「メール以外の手段で本人に直接確認する」です。上司や取引先になりすまして急な振込を指示するのは、BEC(ビジネスメール詐欺)の典型的な手口です。メールは送信元を簡単に詐称できるため、メール上でのやり取りだけで判断してはいけません。正しい初動は、登録済みの電話番号など、メールとは別の経路で本人に直接確認することです。急かされるほど、いったん立ち止まるのが鉄則です。

各選択肢の解説
A:すぐ振り込むのは最も危険。詐欺の思うつぼ。
B:正しい。別経路で本人に直接確認する。
C:添付リンクを開くと、フィッシングサイトやマルウェアの危険。
D:同僚に転送しても真偽は確認できず、被害を広げかねない。

試験対策ポイント:「なりすまし送金指示=別経路で本人確認」。メール上で判断しない。
ワンポイント:「至急」「今すぐ」と急かすのは、冷静な判断をさせない常套手段。
関連知識:組織的には、振込手続きのダブルチェックとMFAで多層的に防ぐ。

問題8

パスワードがフィッシングなどで漏れても、不正ログインを防ぐのに最も効果的な対策はどれか。

A. パスワードを定期的に変更する
B. 通信を暗号化する
C. ログを監視する
D. 多要素認証(MFA)を導入する

正解 D

【解説】
答えは多要素認証(MFA)の導入です。パスワードは、フィッシングや漏えいで盗まれる前提で考える必要があります。MFAを導入しておけば、たとえパスワードが漏れても、スマホのワンタイムコードなど「もう一つの要素」がなければログインできず、不正アクセスを防げます。パスワード頼みから脱却する、最もコスト対効果の高い対策の一つです。

各選択肢の解説
A:定期変更は、近年はむしろ弱いパスワードを招くとして推奨されていない。
B:通信の暗号化は盗聴を防ぐが、漏れたパスワードでのログインは防げない。
C:ログ監視は事後の検知で、ログイン自体は防げない。
D:正しい。パスワードが漏れても、もう一つの要素で守れる。

試験対策ポイント:「パスワード漏えい対策の本命=MFA」。要素を足して守る。
ワンポイント:パスワードの定期変更義務は今や非推奨。長く複雑な一意のパスワード+MFAが正解。
関連知識:MFAはフィッシング被害の大部分を無効化できる、費用対効果の高い対策。

問題9

退職者のアカウントが有効なまま放置され、不正アクセスに悪用された。これを防ぐために徹底すべき運用はどれか。

A. パスワードの複雑化
B. 速やかなアカウント無効化(退職時の権限剥奪/デプロビジョニング)
C. データの暗号化
D. バックアップの取得

正解 B

【解説】
答えは速やかなアカウント無効化(退職時の権限剥奪/デプロビジョニング)です。退職者や異動者のアカウントを放置すると、本人や第三者に悪用され、内部からの不正アクセスの温床になります。入社時に権限を与える(プロビジョニング)のと同じくらい、退職時に速やかに権限を剥奪する運用が重要です。ID管理のライフサイクル全体を回すことが、最小権限の実践につながります。

各選択肢の解説
A:パスワードの複雑化は、放置アカウントの悪用そのものは防げない。
B:正しい。退職時に速やかに権限を剥奪する運用。
C:暗号化はデータ保護で、アカウント放置とは別問題。
D:バックアップは復旧手段で、予防にはならない。

試験対策ポイント:「退職者アカウントの放置対策=速やかな無効化(デプロビジョニング)」。
ワンポイント:入社(付与)と退職(剥奪)はセット。ID管理はライフサイクルで考える。
関連知識:定期的なアクセス権の棚卸し(レビュー)も、放置権限の発見に有効。

問題10

既知の脆弱性を悪用して広がるワームやランサムウェアの被害を防ぐ、最も基本的で効果の大きい対策はどれか。

A. 修正パッチの適用(パッチ管理)
B. ハニーポットの設置
C. ソーシャルエンジニアリング訓練
D. ディスク暗号化

正解 A

【解説】
答えは修正パッチの適用(パッチ管理)です。既知の脆弱性を悪用して広がるワームやランサムウェアは、ベンダーが出す修正パッチを当てるだけで、その多くを防げます。実例として、WannaCryは既に修正パッチが出ていたSMBの脆弱性を悪用しており、パッチを当てていれば被害を避けられた組織が多くありました。地味ですが、パッチ管理は最も基本的で効果の大きい対策です。

各選択肢の解説
A:正しい。既知の脆弱性対策の基本はパッチ適用。
B:ハニーポットは観察用のおとりで、直接の防御策ではない。
C:意識向上訓練は人を狙う攻撃向けで、脆弱性そのものは塞げない。
D:ディスク暗号化は保管データの保護で、ワーム感染は防げない。

試験対策ポイント:「既知の脆弱性=パッチ適用」。基本にして最重要。
ワンポイント:未知(ゼロデイ)は挙動検知、既知はパッチ。攻撃の種類で対策を分ける。
関連知識:パッチ管理は、脆弱性スキャン→優先度づけ(CVSS)→適用、の運用で回す。

■ ここまでのミニまとめ(問題1〜10)

復習ポイント:機密性=暗号化/可用性=冗長化/対策を層で重ねる=多層防御/持ち出し防止=DLP/おとり=ハニーポット/共連れ対策=マントラップ/なりすまし送金は別経路で確認/漏えい対策=MFA/退職者は速やかに無効化/既知の脆弱性=パッチ適用。

重要用語まとめ:CIA(機密性・完全性・可用性)、多層防御、DLP、ハニーポット/サンドボックス、物理セキュリティ、BEC、MFA、デプロビジョニング、パッチ管理。

頻出ポイント:①CIAと対策の対応②多層防御の考え方③シナリオでの最適な初動(別経路で確認・MFA・パッチ適用)。ここは特に狙われます。

現役エンジニアの視点:実務での使いどころ

総合問題は、分野をまたいで「結局どう守るか」を問う、いちばん実務に近いパートです。現場では、CIA(機密性・完全性・可用性)のどれを守りたいのかを起点に対策を選びます。多層防御・最小権限・デフォルト拒否といった考え方は、機器やクラウドが変わっても通用する普遍的な原則。ここが身につくと、知らない問題でも「原則から推測して」正解にたどり着けます。

おわりに|シリーズ完走、お疲れさまでした

全8回のSecurity+問題集シリーズ、お疲れさまでした。ここまで解ききったあなたは、SY0-701の主要分野をひととおりカバーできています。総合問題で間違えたところは、弱点のサインです。該当する分野の記事に戻って、もう一度解き直しましょう。繰り返すほど、本番での得点力が上がります。

次のステップは、体系的な学習と模試での仕上げです。勉強法の全体像と、独学合格までのロードマップは、下の記事にまとめています。

👉 【まずはこれ】CompTIA Security+の勉強法・独学合格ロードマップ

▼ 分野別・問題集シリーズ(全8回)

👉 ①ネットワークセキュリティ
👉 ②脅威・脆弱性
👉 ③ID・認証・アクセス制御
👉 ④暗号技術
👉 ⑤クラウド・仮想化
👉 ⑥ガバナンス・リスク・コンプライアンス
👉 ⑦インシデント対応・運用
👉 ⑧総合問題(この記事)

※掲載問題はすべて筆者が独自に作成したオリジナルです。実際の試験問題ではありません。試験仕様は変更される場合があるため、受験前にCompTIA公式でご確認ください。

CompTIA Security+ 問題集シリーズ 全8回(分野別)

分野別に、1問ずつ徹底解説つきで公開しています。気になる分野・弱点分野からどうぞ。

👉 まずは全体像から:CompTIA Security+の勉強法・独学合格ロードマップ

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