【CompTIA Security+問題集】④暗号技術徹底解説つき「初心者向け無料演習」

CompTIA Security+

この記事は、CompTIA Security+の「暗号技術」分野の演習問題を、1問ずつ徹底解説つきでお届けするシリーズ第4弾です。共通鍵と公開鍵、ハッシュ、デジタル署名、PKIなど、多くの人がつまずく暗号の要点を、身近な例で整理します。

解説では、正解の理由だけでなく、不正解の選択肢がなぜ違うのかまで説明しています。「暗号化とハッシュの違い」「署名と暗号化で使う鍵が逆」といった急所を、ここで一気に押さえましょう。まずは何も見ずに解いてみてください。

暗号技術 演習問題(全10問)

問題1

暗号化と復号に同じ鍵を使い、処理が高速なため大量のデータの暗号化に向いている方式の代表はどれか。

A. RSA
B. SHA-256
C. ハッシュ関数
D. AES(共通鍵暗号)

正解 D

【解説】
答えはAES(共通鍵暗号)です。共通鍵暗号は、暗号化と復号に同じ鍵を使う方式で、処理が高速なため大量データの暗号化に向いています。AESは現在の共通鍵暗号の世界標準で、Wi-Fi(WPA3)、ディスク暗号化(BitLocker)、TLS通信の中身の暗号化など、あらゆる場面で使われています。弱点は「その鍵をどうやって相手に安全に渡すか」で、これは後の問題で出てくる鍵交換や公開鍵暗号で補います。

各選択肢の解説
A:RSAは公開鍵暗号で、暗号化と復号で別々の鍵を使う。
B:SHA-256はハッシュ関数で、暗号化ではない。
C:ハッシュ関数は一方向で復号できず、暗号化とは別物。
D:正しい。同じ鍵で暗号化・復号する高速な共通鍵暗号。

試験対策ポイント:「同じ鍵で高速=共通鍵暗号(AES)」。大量データ向き。
ワンポイント:共通鍵の課題は鍵配送。実際は公開鍵暗号と組み合わせるハイブリッド方式が主流。
関連知識:DESは旧世代の共通鍵で解読可能。現在はAESが標準です。

問題2

ペアになった2つの鍵を使い、公開鍵で暗号化したものは対応する秘密鍵でしか復号できない方式はどれか。

A. AES
B. RSA(公開鍵暗号)
C. MD5
D. HMAC

正解 B

【解説】
答えはRSA(公開鍵暗号)です。公開鍵暗号は、ペアになった2つの鍵——誰に見せてもよい公開鍵と、絶対に秘密にする秘密鍵——を使います。公開鍵で暗号化したものは、対応する秘密鍵でしか復号できません。これにより、共通鍵暗号が抱える「鍵を安全に渡す問題」を解決できます。代表格がRSAで、近年はより短い鍵で同等の強度を持つECC(楕円曲線暗号)も普及しています。TLSやデジタル署名の土台です。

各選択肢の解説
A:AESは共通鍵暗号で、同じ鍵を使う。
B:正しい。公開鍵で暗号化し、秘密鍵で復号する。
C:MD5はハッシュ関数。
D:HMACはハッシュを使ったメッセージ認証で、暗号化方式ではない。

試験対策ポイント:「公開鍵で暗号化・秘密鍵で復号=公開鍵暗号(RSA)」。
ワンポイント:公開鍵暗号は低速。実務では共通鍵の受け渡しに使い、本体はAESで暗号化する。
関連知識:ECC(楕円曲線暗号)は短い鍵で高強度。スマホなど資源の少ない環境で有利。

問題3

データが改ざんされていないこと(完全性)を確認するために使う、一方向で元に戻せない技術はどれか。

A. 共通鍵暗号
B. 公開鍵暗号
C. ハッシュ関数(SHA-256など)
D. デジタル署名

正解 C

【解説】
答えはハッシュ関数です。ハッシュ関数は、データを固定長の値(ハッシュ値)に変換する一方向の技術で、元のデータには戻せません。少しでもデータが変われば全く違うハッシュ値になるため、改ざん検知=完全性(Integrity)の確認に使われます。実例として、ダウンロードファイルの検証、証明書の署名、ブロックチェーンなどがあります。代表はSHA-256です。暗号化と違い「戻せない」のが最大の特徴です。

各選択肢の解説
A:共通鍵暗号は暗号化で、復号して元に戻せる。
B:公開鍵暗号も復号して元に戻せる。
C:正しい。一方向で元に戻せず、完全性の確認に使う。
D:デジタル署名はハッシュを応用した仕組みで、単体の一方向技術そのものではない。

試験対策ポイント:「一方向・戻せない・改ざん検知=ハッシュ関数」。
ワンポイント:暗号化=戻せる、ハッシュ=戻せない。この違いは頻出です。
関連知識:MD5やSHA-1は衝突が見つかり非推奨。現在はSHA-256以上を使う。

問題4

送信者が秘密鍵で署名し、受信者が公開鍵で検証することで、完全性・真正性・否認防止を同時に実現する仕組みはどれか。

A. デジタル署名
B. 共通鍵暗号
C. ハッシュ関数
D. VPN

正解 A

【解説】
答えはデジタル署名です。送信者が自分の秘密鍵でデータのハッシュに署名し、受信者が送信者の公開鍵で検証します。これにより、「本人が送ったこと(真正性)」「改ざんされていないこと(完全性)」「送っていないと言い逃れできないこと(否認防止)」の3つを同時に実現できます。実例として、ソフトウェアの署名、電子契約、メールのS/MIMEがあります。公開鍵暗号を「逆向き」に使うのがポイントです。

各選択肢の解説
A:正しい。秘密鍵で署名し公開鍵で検証。完全性・真正性・否認防止を実現。
B:共通鍵暗号は機密性を守るが、否認防止はできない。
C:ハッシュ単体では、誰が作ったかを保証できない。
D:VPNは通信の暗号化で、署名とは別。

試験対策ポイント:「秘密鍵で署名・公開鍵で検証=デジタル署名」。否認防止まで担う。
ワンポイント:暗号化は公開鍵で、署名は秘密鍵で。使う鍵が逆になる点に注意。
関連知識:証明書(PKI)は、この署名の仕組みで公開鍵の正当性を保証します。

問題5

「その公開鍵は本当に本人のものか」を、信頼された第三者が電子証明書を発行して保証する仕組みはどれか。

A. HMAC
B. VPN
C. SSO
D. 公開鍵基盤(PKI)/認証局(CA)

正解 D

【解説】
答えは公開鍵基盤(PKI)/認証局(CA)です。公開鍵暗号には「その公開鍵は本当に本人のものか?」という信頼の問題があります。これを、信頼された第三者である認証局(CA)が電子証明書を発行して保証する仕組みがPKIです。実例として、Let’s EncryptやDigiCertが発行するSSL/TLSサーバー証明書があります。ブラウザの鍵マークは、この証明書が有効であることを示しています。

各選択肢の解説
A:HMACはメッセージ認証で、公開鍵の正当性保証ではない。
B:VPNは通信の暗号化。
C:SSOはログインの一元化。
D:正しい。CAが証明書を発行し、公開鍵の正当性を保証する仕組み。

試験対策ポイント:「公開鍵の正当性を第三者が保証=PKI/CA(証明書)」。
ワンポイント:失効した証明書はCRL(失効リスト)やOCSPで確認する。
関連知識:証明書発行の申請にはCSR(証明書署名要求)を使います。

問題6

パスワードをハッシュ化する際、同じパスワードでも異なるハッシュ値になるよう、ランダムな値を加える技術はどれか。

A. エンコード(符号化)
B. 共通鍵暗号
C. ソルト(salt)
D. デジタル署名

正解 C

【解説】
答えはソルトです。パスワードをそのままハッシュ化すると、同じパスワードは同じハッシュ値になり、事前計算した表(レインボーテーブル)で一気に破られてしまいます。そこで、各パスワードにランダムな値(ソルト)を加えてからハッシュ化すると、同じパスワードでも異なるハッシュになり、まとめて破られるのを防げます。さらに計算を意図的に重くするキーストレッチング(bcrypt、PBKDF2)と組み合わせるのが定番です。

各選択肢の解説
A:エンコード(符号化)は文字コードの変換で、セキュリティ対策ではない。
B:共通鍵暗号は、パスワード保存の一般的な手法ではない。
C:正しい。ランダム値を加えてハッシュを一意化する。
D:デジタル署名は本人性の保証で、パスワード保存とは別。

試験対策ポイント:「同じPWでも違うハッシュにする乱数=ソルト」。レインボーテーブル対策。
ワンポイント:ソルト+キーストレッチング(bcrypt/PBKDF2)でさらに強固になる。
関連知識:パスワードは暗号化ではなく、ハッシュ+ソルトで保存するのが正解です。

問題7

WebサイトのHTTPS通信で、ブラウザとサーバーの間のデータを暗号化するために使われるプロトコルはどれか。

A. IPSec
B. TLS(SSL)
C. SHA
D. AES

正解 B

【解説】
答えはTLS(SSL)です。WebサイトのHTTPS通信で、ブラウザとサーバーの間のデータを暗号化するプロトコルです。仕組みとしては、まず公開鍵暗号で共通鍵を安全に受け渡し(ハンドシェイク)、その後は高速な共通鍵暗号(AES)で本文を暗号化する、というハイブリッド方式をとります。URLがhttpsで鍵マークが出ているサイトは、すべてTLSで保護されています。SSLは旧称で、現在はTLSが正式名称です。

各選択肢の解説
A:IPSecは主にVPNで使う暗号化プロトコルで、HTTPSの暗号化そのものではない。
B:正しい。HTTPSの通信を暗号化するプロトコル。
C:SHAはハッシュ関数。
D:AESは共通鍵暗号で、TLSの内部で使われるが、プロトコル名ではない。

試験対策ポイント:「HTTPSの暗号化=TLS(旧SSL)」。
ワンポイント:TLSは公開鍵で鍵交換→共通鍵で本文暗号、というハイブリッド方式。
関連知識:通信中(in transit)の暗号化の代表がTLS。保管中はディスク暗号化。

問題8

ノートPCの紛失・盗難に備え、ストレージ全体を暗号化して、保管中(at rest)のデータを守る技術はどれか。

A. ディスク暗号化(BitLockerなど)
B. TLS
C. VPN
D. HMAC

正解 A

【解説】
答えはディスク暗号化です。ノートPCやスマホの紛失・盗難に備え、ストレージ全体を暗号化して、保管中(at rest)のデータを守ります。ログインできなければ中身は読めません。実例として、WindowsのBitLocker、MacのFileVault、スマホの標準暗号化があります。通信中(in transit)を守るTLSと対になる、保管データの守りです。

各選択肢の解説
A:正しい。保管中のデータを守るディスク全体の暗号化。
B:TLSは通信中の暗号化。
C:VPNは通信経路の暗号化。
D:HMACはメッセージ認証。

試験対策ポイント:「保管中(at rest)のデータ=ディスク暗号化(BitLocker等)」。
ワンポイント:データ保護は「通信中=TLS」「保管中=ディスク暗号化」の2軸で考える。
関連知識:紛失対策にはディスク暗号化+MDM(端末管理)が有効です。

問題9

共通鍵暗号の「共通鍵をどうやって盗聴されずに相手へ渡すか」という課題を解決し、公開の通信路でも安全に共通鍵を共有できる方式はどれか。

A. AES
B. SHA
C. RSA署名
D. 鍵交換(Diffie-Hellman)

正解 D

【解説】
答えは鍵交換(Diffie-Hellman)です。共通鍵暗号は高速な反面、「その共通鍵をどうやって盗聴されずに相手へ渡すか」という難題を抱えます。ディフィー・ヘルマン鍵交換は、公開された通信路でも、盗聴者に共通鍵を知られずに、双方で同じ共通鍵を作り出せる巧妙な仕組みです。TLSのハンドシェイクで使われています。近年は、後から鍵が漏れても過去の通信を守れる前方秘匿性(PFS)を持つECDHEが主流です。

各選択肢の解説
A:AESは共通鍵暗号の本体で、鍵の共有方法ではない。
B:SHAはハッシュ関数。
C:RSA署名は本人性の保証で、鍵交換とは目的が異なる。
D:正しい。公開の通信路でも安全に共通鍵を共有する方式。

試験対策ポイント:「盗聴されても安全に共通鍵を共有=鍵交換(Diffie-Hellman)」。
ワンポイント:前方秘匿性(PFS)を持つECDHEが現在の主流。
関連知識:共通鍵の配送問題を解くのが、鍵交換と公開鍵暗号の役割です。

問題10

ファイルの完全性チェックに使うハッシュ関数として、現在も安全とされ推奨されるものはどれか。

A. MD5
B. SHA-256
C. DES
D. RC4

正解 B

【解説】
答えはSHA-256です。ハッシュ関数にも世代があり、古いMD5やSHA-1は、異なるデータが同じハッシュ値になる衝突が見つかっており、現在は非推奨です。安全に使えるのはSHA-256(SHA-2ファミリー)以上です。実例として、TLS証明書の署名やソフトウェアの改ざんチェックはSHA-256が標準です。「古い暗号・ハッシュは使わない」というのは、Security+全体を通じた重要な考え方です。

各選択肢の解説
A:MD5は衝突が容易に作れるため、完全性チェックには非推奨。
B:正しい。現在も安全に使えるハッシュ関数。
C:DESは古い共通鍵暗号で、そもそもハッシュ関数ではない。
D:RC4は脆弱なストリーム暗号で、ハッシュ関数ではない。

試験対策ポイント:「安全なハッシュ=SHA-256以上」。MD5・SHA-1は非推奨。
ワンポイント:古いアルゴリズム(MD5・SHA-1・DES・RC4)は使わない、が鉄則。
関連知識:選択肢のDESとRC4はそもそもハッシュではなく暗号。ひっかけに注意。

■ ここまでのミニまとめ(問題1〜10)

復習ポイント:同じ鍵で高速=共通鍵暗号(AES)/公開鍵で暗号化・秘密鍵で復号=公開鍵暗号(RSA)/一方向で改ざん検知=ハッシュ/秘密鍵で署名=デジタル署名/公開鍵の正当性保証=PKI・CA/同じPWを違うハッシュに=ソルト/HTTPSの暗号化=TLS/保管中の暗号化=ディスク暗号化/安全に共通鍵共有=鍵交換/安全なハッシュ=SHA-256。

重要用語まとめ:AES、RSA/ECC、ハッシュ(SHA-256)、デジタル署名、PKI/CA/証明書、ソルト/キーストレッチング(bcrypt)、TLS、ディスク暗号化(BitLocker)、Diffie-Hellman、HMAC。

頻出ポイント:①共通鍵と公開鍵の違い(鍵が同じか別か)②暗号化とハッシュの違い(戻せるか)③署名は秘密鍵で・暗号化は公開鍵で④古いアルゴリズムは使わない。ここは特に狙われます。

現役エンジニアの視点:実務での使いどころ

暗号分野は苦手意識を持つ人が多いですが、実務では「通信中はTLS、保管中はディスク暗号化」という2軸を押さえるだけで、かなり見通しが良くなります。現場でHTTPS証明書を扱うと、PKI・CA・公開鍵の話が一気に身近になります。「暗号化とハッシュは別物(戻せるか戻せないか)」という感覚は、実務でも必ず問われる基礎です。

おわりに

お疲れさまでした。暗号分野は、用語が似ていて混乱しやすい反面、「鍵が同じか別か」「戻せるか戻せないか」「どの鍵を使うか」という軸で整理すれば一気に見通しが良くなります。特に、暗号化とハッシュの違い、署名は秘密鍵・暗号化は公開鍵という対応は、繰り返し問われます。

他の分野もシリーズで公開しています。あわせてどうぞ。

👉 【問題集①】ネットワークセキュリティ
👉 【問題集②】脅威・脆弱性
👉 【問題集③】ID・認証・アクセス制御
👉 CompTIA Security+の勉強法・独学合格ロードマップ

※掲載問題はすべて筆者が独自に作成したオリジナルです。実際の試験問題ではありません。試験仕様は変更される場合があるため、受験前にCompTIA公式でご確認ください。

CompTIA Security+ 問題集シリーズ 全8回(分野別)

分野別に、1問ずつ徹底解説つきで公開しています。気になる分野・弱点分野からどうぞ。

👉 まずは全体像から:CompTIA Security+の勉強法・独学合格ロードマップ

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